駅エリア特集

駅エリア特集【中区上前津】都心部へのアクセス抜群&大須商店街の濃厚な名古屋文化を堪能できる街 ~ 万松寺・千寿の天むす・松屋コーヒー

今回は、地下鉄名城線と鶴舞線の乗り換え駅である「上前津」駅を特集します。

地下鉄鶴舞線・名城線「上前津」駅

地下鉄「上前津」駅は名古屋市中区の南部(大須四丁目)に位置しており、地下鉄名城線と鶴舞線の2路線が利用可能です。
「栄」駅までは名城線で1駅、オフィス街である「伏見」駅までも鶴舞線で1駅と市内の繁華街に好アクセスの立地。

東西に走る大須通と南北に走る大津通、前津通が交差しており、大津通と大須通の北東部は以前にご紹介した「大須」の商店街エリアとなります。

大須商店街の中でも、「上前津」駅に近いのは万松寺通と新天地通の2つの通りです。

駅エリア特集【中区上前津】
  • 伝説の超ナゴヤ人
  • 名古屋子育て情報局dD版
  • ナゴヤ街ブラ都市学会
  • 駐車場×筋トレ調査レポ
  • 銘店探索!はこなトラン
  • ブリヨンのレトロ喫茶店
  • かきみんの家具雑貨店めぐり
  • 東海圏㍇なんでも相談室
  • 中古マンション漂流記

町並み

駅周辺の地勢は平坦で、自転車で移動するのには最適なエリア。大須商店街だけでなく、栄や伏見、名駅といった市内の主要エリアへも自転車でスムーズに移動することができます。

中区はほとんどが商業地域に指定されているため、「上前津」駅周辺も例外なく飲食店や商業ビルなどが集まる賑やかな街です。

▲「上前津」駅周辺は「大須通」「大津通」「前津通」といった大通りが交差している

ただし、大須商店街や栄、伏見などの中心地や大通り沿いと比較すると、駅の南部はややオフィスビルの規模が小さくなます。
また、飲食店とマンションなどの住宅が混在する街並みとなっており、人の暮らしがイメージしやすいエリア。

▲アベノミクス以降の「職住近接」ブームにより繁華街近くにタワーマンションが林立。「上前津」駅周辺も例外ではなく、利便性の高い立地にマンションが建設されている
▲駅の南側一帯はビルの規模が徐々に小さくなり、単身者向けの集合住宅などが増える。近年は立地の利便性が再注目され、分譲マンションも増えつつある。

特に「上前津」駅の南側一帯は「大須観音」駅周辺よりも、住宅地のイメージが強いかもしれません。

▲中区のほとんどが商業地域に指定されているものの、「上前津」駅の南部は比較的マンションの割合が高いエリア。
▲新堀川にかかる「記念橋」からの眺め。「堀川」「新堀川」の整備が名古屋の都市基盤の礎であることを思い出させる風景

駅の東側には「新堀川」が流れており、川沿いのビル群の眺めもこの街の趣深い風景の1つです。

歴史

古代は熱田台地の東に海が広がっていて、「まへ津」と呼ばれる船着場があったことが由来と言われています。

あるいは、「鶴舞」や「舞鶴橋」など、鶴が多く飛来していたことを表す地名も多いことから、「舞鶴(まいづる)」が転じて「前津」になったとする説も。

西の「大須観音」から東の「万松寺」付近に広がる大須商店街の一帯は、江戸時代に名古屋城下の寺町として整備されました。
寺院の付近には芝居小屋や遊廓などさまざまな娯楽が集中し、盛場として発展しました。

しかし、大正〜昭和初期にかけて遊郭が中村区に移転したり、戦後復興でできた若宮大通により繁華街が分断されたこともあり、大須の街の集客力は徐々に衰退。
日本中が好景気に沸いた高度経済成長期〜バブル期は、大須商店街にとって不遇の時代だったのです。

こうした流れを憂い、昭和50年代から商店街によってさまざまな独自の取り組みがなされるようになりました。パソコンショップ「第一アメ横ビル」の出展以降、オタク文化や異国文化など、多種多様な文化を取り入れ始めます。
こうして現代の「大須」のスタイルが確立し、「ごった煮の街」「若者の街」へと変遷していったのです。

▲通と東仁王門通商店街の交差点にある「大須商店街ふれあい広場」。ここに鎮座する高さ2.2mの巨大なまねき猫は大須の新名所にもなっている。
▲大須商店街復活先駆けとなったのが、パソコンショップ「第1アメ横ビル」。個性的な家電店を皮切りにオタク街として発展、コンセプトカフェやホビーショップなども増加。「ごった煮」と言われる現在の大須のスタイルの礎に。

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お店・買い物施設

「上前津」駅周辺は大津通や大須通りなどの大通りが交差しているため、お店には事欠きません。それだけでなく、大須通商店街は、市内でも特に数多くの店舗がひしめき合うエリア。

今回は、その中でも外せない名古屋を代表する老舗の4店舗と、生活に根ざした個性的な3つのスーパーをご紹介します。

コンパル 大須本店

ブリヨンのレトロ喫茶店:大須編でもご紹介した『コンパル 大須本店』。
実は最寄駅は「上前津」駅なのです。
言わずもがなのレトロな雰囲気の店内、鉄板の「エビフライサンド」、絶対こぼしちゃう例のアイスコーヒー。
ナゴヤ人ならマストの履修科目ですよね?

名古屋を訪れる他県の友人に「名古屋ならではのモーニング文化を楽しみたい」とリクエストされること、多くないですか?
真のナゴヤ人ならば、こう答えるはず。
「モーニングは一宮発祥の文化。名古屋の喫茶店文化といえば、まずは『コンパルのエビフライサンド』です。(キリッ)

異論は認めます・・・

▲新天地通の脇、「万松寺」の「からくり時計」前にある『コンパル大須 本店』
▲エビフライサンド 1050円 ブリヨンのレトロ喫茶店より

住所:名古屋市中区大須三丁目20-19
TEL:052-241-3883
開店時間:8:00〜19:00

めいぶつ 天むす 千寿 大須本店

名古屋めしといえば、ひつまぶし、味噌カツ、きしめん、名古屋コーチン…そして忘れてはならないのが、「天むす」。

天むすを販売するお店は数あれど、『千寿』は大本命。
名古屋を訪れた他県の友人に、「新幹線の中で食べてね」と手土産として渡したい逸品です。

発祥は三重県津市にある『元祖 めいぶつ天むす 千寿』。こちらはミシュランプレートを取得。40年ほど前に暖簾分けしたお店の1つが、『めいぶつ 天むす 千寿 大須本店』です。
こちらの系列店は、松坂屋や近鉄パッセなどにも入っています。

小ぶりな手毬型で食べやすいサイズ感。お米はしっかり粒が立っていて、絶妙な塩加減。
ちょこんとのぞく海老の天ぷらがかわいく、伽羅蕗(きゃらぶき)のアクセントも重要な役割を果たしています。

出来立ての天むすが味わえる店内での飲食はランチタイムのみ、小さなテーブル席が2つとキャパシティは少なめ。揚げたてのサクッと感はたまりません。
少々冷めても美味しいので、ご飯と天ぷらが程よく馴染んだテイクアウトもおすすめです。

▲名古屋人のソウルフードとも言える天むすは5つ入で810円(税込)もちろんこの日の家族のお土産に買って帰りました。

住所:名古屋市中区大須四丁目10-82 OSU301 1F
TEL:052-262-0466
開店時間:8:30〜18:00
定休日:火曜・水曜

今井総本家 万松寺本店

明治39年創業。100年以上に渡って大須の街で「天津甘栗」伝統の味をを守り続けている老舗。
万松寺通の入り口にあるビル『OSU301』の1階にある本店では、天津甘栗の実演販売をやっています。

お正月に家族揃って大須観音の初詣に行った帰り、『今井総本家』の「天津甘栗」を買ってもらった思い出のあるナゴヤ人も多いかもしれませんね。
甘い香りと甘栗を待つ行列は大須のお正月の風物詩とも言われました。

最近では、天津甘栗以外の商品展開も魅力。
ソフトクリームにマロンペーストをふんだんにふりかけた「モンブランソフト」や栗ペーストがたっぷりかかった「かき氷」が大人気です。

▲OSU301ビルの1階角にある『今井総本家』。天津甘栗は215gで1300円(税込)、モンブランソフトは750円(税込)

住所:名古屋市中区大須三丁目30-47 OSU301 1F
TEL:052-262-0728
開店時間:9:00〜19:00
定休日:年中無休

松屋コーヒー 本店

今月は純喫茶記事がお休みのため、もう1件名古屋を代表する珈琲店をご紹介します。
『今井総本家』と同じく『OSU301』1階にある『松屋コーヒー』は明治42年創業。
独自の抽出法「松屋式ドリップ」が人気で、喫茶店文化の色濃い名古屋で1世紀以上愛される老舗です。

本店では、コーヒー豆だけでなく、さまざまなコーヒー器具も販売しており、オリジナルの「松屋式ドリップ」が楽しめる機器も入手可能。淹れ方のワークショップも開催されているのだとか。
迷った時はスタッフに好みを伝えると、豊富な知識をもとにおすすめの豆を紹介してもらえます。

また、隣接するカフェスペース『CAFE LE PIN』は、大須の街に訪れた買い物客が疲れを癒す空間。
『珈琲3種飲み比べ』などのサービスもあり、ついつい長居してしまいます。

▲コーヒー豆は好みを伝えるとおすすめを紹介してもらえる。 歩き疲れた体に染み渡る「珈琲ぜんざいフロート」は700円。

住所:名古屋市中区大須3丁目30−59
TEL:052-251-1601

生鮮食品館 サノヤ

大須商店街内には飲食店や専門店は多々あれど、生鮮食品が調達できるスーパーは貴重です。
万松寺通にあるスーパー『サノヤ』は、このエリアの住民の生活を支える貴重な存在。
まさに地元の方向けのお店で、お店の前には自転車が所狭しと並んでいます。
駐車場はなく、決済は現金のみ。

規模は小さく、カートも利用できないためまとめ買いには不向きですが、臨場感のある陳列や特売品の安さが口コミでも評判です。

▲万松寺通にあるスーパー『生鮮食品館 サノヤ』は特売品がお買い得と評判のお店

住所:名古屋市中区大須三丁目33-6
TEL:052-241-0486
営業時間:9:30〜21:00

サンエース 記念橋店

繁華街に近い立地のため、規模の大きなスーパーではありません。
店内も狭く、カートは利用できないため、まとめ買いには不向きなお店。

ただ、1〜2人暮らしの食料品を調達したり、ちょっとした足りない食材を調達するにはちょうど良い規模感。
まさにコンビニとスーパーの間のような存在です。

▲記念橋の近くにある『サンエース』はコンビニとスーパーの中間のような存在

住所:名古屋市中区大須4-14-35
TEL:052-259-2305
開店時間:9:30〜22:00
定休日:日曜日

フードショップイトウ

万松寺通と東仁王門通の間に位置する昭和感溢れるスーパー。
旬の新鮮な野菜や果物が良心的な価格で手に入ると口コミで評判のお店です。
隣接する魚屋さんも同店の系列。
口コミをチェックすると、特に果物が人気のようです。

▲カゴに積まれた陳列スタイルは昭和感・臨場感たっぷりでエンタメ性もある

住所:名古屋市中区大須三丁目35-15
TEL:052-241-5081
開店時間:9:00〜18:00
定休日:水曜日

オススメスポット

「大須観音」駅〜「上前津」駅が大須の商店街のメインエリアとなっているため、「上前津」駅=商店街という印象を持つ方も多いかもしれません。

今回は、あえて商店街にとらわれないおすすめスポットをご紹介します。

亀岳林 万松寺

【中区大須観音】特集でもご紹介した『万松寺』の最寄駅も実は「上前津」駅。

1540年、織田信長の父信秀が、織田家の菩提寺として創建。
戦国時代は現在の名古屋城近くにありましたが、名古屋城築城に伴って1610年に現在の場所に移転されました。
今川家から織田家へ人質として送られた幼少期の徳川家康(竹千代)が過ごした場所としても有名です。

今回ご紹介したいのは万松寺名物「からくり時計」と白い龍の演出。
本堂の3階部分の扉が開き、織田信長が桶狭間合戦出陣前に清洲城で下天の舞(幸若舞)を舞う場面と、亡き父信秀の葬儀の際、焼香の場で抹香を位牌に投げつけた場面が再現されています。

上部から睨みを聞かせる約8mの龍と、その下で睨み合う2体の龍。上下に絡み合う3体の白い龍は万松寺のシンボル的存在です。
この龍の演出はからくり時計と交互に上演されます。
定刻になると映像と共に上の龍が白い霧を吐き、下の龍が水を吐きます。

毎月28日の縁日では、境内で「身代わり餅つき」が行われ、18時から参拝客につきたてのお餅が無料で振る舞われます。

▲「からくり時計」の上演時間は10:00/12:00/14:00/16:00/18:00。白龍の演出は11:00/13:00/15:00/17:00/19:00。それぞれ5回ずつ交互に上演されます。

住所:名古屋市中区大須三丁目29-12

春日神社

「上前津」駅9番出口すぐ、大津通と大須通の交差点にあるのは三井住友銀行上前津支店の立派な建物。その西側に突如現れる生い茂る緑の空間が『春日神社』です。

中区南部は江戸時代の「清須越し」の際に寺院が集められたエリアということもあり、「大須観音」など有名な寺院がいくつかあります。

一方、古代から人の営みがあった地域のため、古墳や神社もあるのが魅力。中でもこの『春日神社』は平安時代に創建された古社。春日造の見事な社殿は不思議と人を惹きつける魅力があります。

江戸時代からさらに遡った奈良時代、平城京に春日神社を建てる際に、鹿嶋からタケミカヅチは白い鹿に乗ってやってきたという伝説があります。このときタケミカヅチが前津の地に泊まったことで後年その場所に春日神社を建てたという説があります。

▲ビルの合間に佇む春日造の見事な社殿と御神木。市内随一の繁華街であることを忘れさせる神秘的な空間

三輪神社

商店街の脇にある小さな神社。
境内にある兎の像は「幸せのなでうさぎ」と呼ばれ、幸運をもたらすと言われています。

境内右手にはうさぎの形をした絵馬がずらり。
よく見るとアイドルの名前が書かれています。
お参りしている方に突撃取材したところ、三輪神社は「推し活」の神様として有名なのだそう。テレビでも紹介され、チケット当選祈願の絵馬が多数飾られていました。
(次の星野源のライブ前に行こう…)

1570年創建と長い歴史があり、縁結びの神様としても人気です。

▲「推し活」の神様としてアイドルファン層に人気

住所:名古屋市中区大須三丁目9-32

記念橋

名古屋城築城300年記念で作られた『記念橋』。ここから眺める新堀川の風景は、この街の風物詩のひとつ。どこか懐かしさを醸し出しています。

記念橋からの眺めで欠かせないのが、記念橋ビルに掲げられた「名探不動産」の看板。
名探偵が掘り出し物件を探してくれそうなイメージですね。

▲「記念橋」からの新堀川の眺めはどこかノスタルジック。

取材後記

地元住民の生活と下町情緒が交錯する「上前津」駅。
大須商店街では、名古屋めしだけでなく様々な異国グルメも堪能できるまち歩きを楽しむことができます。

最新の流行を取り入れ続ける形で柔軟に変化を続けており、今後も街の賑わいは続いていくでしょう。

駅エリア特集【中区上前津】
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veronica
名古屋在住の不動産ライター。方向音痴の宅建士。大学卒業後不動産仲介営業を経験し、結婚で名古屋に転居。現在はポータルサイトで不動産コラムの執筆や企画などを中心に活動中。自称和装が似合うマダム。高校生と小学生のママで、星野源が好きです。