伝説の超ナゴヤ人に訊く

伝説の超ナゴヤ人に訊く【名東区藤が丘】あの伝説のV系も輩出した老舗ライブハウス『MUSICFARM』副店長 田中大資さん

地元の住み心地は、地元の主に訊くのが一番!穏やかな心を持ちながら、激しい地元愛によって目覚めた名古屋最強の伝承者。それが〝超ナゴヤ人〟だ!
『伝説の超ナゴヤ人に訊く』第6回は【名東区藤が丘】で

老舗ライブハウス『MUSICFARM』 副店長 田中大資さん

▲伝説のヴィジュアル系バンドを輩出した老舗ライブハウスMUSICFARM

地下鉄東山線の始発駅であり、名古屋市屈指の人気住宅街。

そんな藤が丘に、伝説のヴィジュアル系バンドを輩出した老舗ライブハウスがあることをご存知でしょうか。

今回は、MUSICFARM副店長 田中大資さんにお話を伺いました。

藤が丘で35年愛されてきた老舗ライブハウス

ーライブハウスMUSICFARMの歴史について聞かせてください。

MUSICFARMは1988年にオープンしているので来年で35年になるんですが、僕は2010年からここで働いています。

名古屋のライブハウスって、おそらく当時はうちが4つ目くらいなんですよ。
(大須:Electric Lady Land 今池:HUCK FINN 伏見:ハートランド)
元々ライブハウスが繁華街に集まっていたわけではなく、市内に分散していたんですね。

うちの場合は元々のオーナーが自宅の近くで探して、藤が丘になったみたいです。
今でこそ名古屋市を代表するような住宅街になっていますが、1988年にオープンした当時は、今よりもっと閑散としていたそうですよ。
逆にここら辺だったら少しくらい音出してもいいだろうという感じだったのかもしれませんね。(笑)

もちろん防音はしっかりされていますし、時間帯は配慮して音を出しています。
人気のアーティストのライブにはどうしても人が集まってしまうのですが、苦情が来るのは最近引っ越してきた人ですね(笑)
昔から住んでらっしゃる方は、ある程度ご理解いただいているみたいです。

▲閑静な住宅地に突然現れる印象的な壁!

ヴィジュアル系バンド全盛期に伝説のバンド「黒夢」を輩出

ーライブハウスの客層に特徴はありますか?

客層は出演するアーティストのジャンルで変わりますが、最初の頃はヴィジュアル系バンドをメインでやっていましたね。

伝説のバンド「黒夢」はここを拠点にして有名になりました。
ヴィジュアル系が全くわからないという人でも、名前くらいは知っているというバンドですよね。

ヴィジュアル系バンドの全盛期は90年代半ば〜後半ですね。
誰でも知ってるようなアーティストも来てますよ。
(インターネットがない時代なので履歴が残っていないのが残念!)

その当時はアーティストだけじゃなくファンも奇抜な格好の人が多かったですね。
店の前を通ると、髪が青い人とか、髪が垂直に立ってる人とかいましたね…
時代ですね(笑)

今はそうでもなくて、お客さんのファッションも普通の人が中心になりました。
ライブのアーティストもファンも、「ちょっと怖いな」みたいなヴィジュアルの人は全然いないです。

今でもヴィジュアル系のバンドのライブはよくあります。
(奇しくも取材日はヴィジュアル系バンドのライブがある日でした。)
でも、奇抜なファッションの子はだいぶ減りましたよ。

普通のバンドや歌い手さん、アイドルや弾き語り…
多種多様な感じですね。

地元商店街との協力

ー住宅街とライブハウスというと、一見折り合いが良くないイメージもあると思いますが、どのように共生してこられたのでしょうか?

1990年代に入ると、藤が丘の人口もどんどん増えてきました。
立派な家も多いし、「生活水準の高い方が住む街」という印象ですよね。

ただ、有名バンドも輩出して、その頃にはライブハウスとしてある程度の立ち位置は確立できていたと思います。唯一無二というか。

今でも、藤が丘駅を使う学生がライブに来るというよりは、アーティストのライブを目当てに市内や県外からも来てくれます。

ただ、長年この場所でやっているので、「地域貢献」もすごく大事だと思っています。
今は体制が変わって会社化しているのですが、そこからは「藤が丘中央商店街」と手を組んで駅前でイベントをやったりしています。

商店街では、春と秋にイベントがあります。
名東高校のブラスバンドの発表会をやって音響面で協力したり。
イベント制作や企画はうちの得意分野ですからね。

どうしても「ライブハウス=うるさい施設」と思われがちなのでね(笑)
こっちから「楽しいことやってますよ!」と発信しに行って、街全体が楽しくなったらいいなと思ってるんですよ。

今年は隣にハンバーガーショップをオープンしたんですが、商店街イベントの時には出店もしています。

商店街のおばあちゃんたちとも、めっちゃ仲良くやってますよ。おばあちゃんだと、多分価値観が一周回っちゃってるんですよ(笑)
もう少し下の世代だと、「ライブハウス=うるさい」とか「バンドマン=怖い」という考え方もあるかもしれないですが…

おばあちゃんは「若い子が来てくれて嬉しい」という感覚になるんでしょうね。ここ5〜6年は特にそんな感じです。

▲藤が丘中央商店街「大文化祭」の様子
▲音楽系のイベントでは音響設備で協力

きっかけはご当地アイドル

ー商店街との今のような友好関係を築くのに、何かきっかけがあったのでしょうか?

名古屋発祥の「絶叫する60度」というアイドルグループのイベントがきっかけです。
(2014年8月〜2019年9月。現在は活動は終了している)

2018年の夏休みに、「絶叫する30DAYS」という企画を立てたんです。

30日間毎日対バンで、全国的に有名なアーティストを呼んでライブをして、千秋楽をZEPP名古屋でやるという内容でした。

毎日違うバンドが来るので、そのバンド目当てに全国から藤が丘駅にかなりの人が来ることになります。
最低でも120人×30日、単純計算で合計3600人。
それだけの人数がいつもより多く藤が丘に集まるわけですから、駅前の店と協力すれば街全体が盛り上がるんじゃないかと思ったんですよ。

そこで、商店街の店を回りまくって、商店街のパンフレットを作りました。
ライブに来た人が「あ、こんな店あるんだ」と思ってもらえるようにしたんです。
それがきっかけで、今のWIN-WINな関係が出来上がってますね。

藤が丘発アイドルをプロデュース

ーライブハウスの独自の取り組みを教えてください。

うちの会社は今、Aquerというアイドルグループをプロデュースしています。
そのグループも、駅前で定期的に無料イベントをやってるんですよ。

中高生が無料で写真を撮れるイベントや、名東区のゆるキャラ「名東勝家くん」と一緒にライブをして、イベントの後はゴミ拾いをしたり。

藤が丘駅は住んでる人だけでなく、高校生や大学生もたくさん利用しますので、ファンになってもらいたいですね。

▲駅前での無料イベントの様子
▲藤が丘発アイドル

MUSIC FARM DINER

ーお隣にカフェをOPENされていますが、どんなコンセプトのお店ですか?

MUSIC FARM DINERがオープンしたのは今年の5月。
メインのターゲットはライブお客さんなので、ライブハウスと連動させて営業しています。

友達とライブに行くと「ちょっとご飯食べてから行こうか」ってなりますよね。
ライブが終わった後にも「なんか食べたいな」と思った時に、隣にお店があれば嬉しいかなと。

ワンマンライブの時は、当然そのアーティストのファンの方が集まります。
お店では、そのバンドのMVを流したり、新曲とコラボしたドリンクを提供したりしていますよ。
ファン同士の情報交換の場にもなっているみたいですね。

そんな感じで始めたお店ですが、フードメニューにもかなりこだわったので、ありがたいことに一般のお客さんもたくさん来ていただいています。

▲肉汁がジューシー!本格的なハンバーガーのお店

「藤が丘」駅の魅力

「確実に座れる」

ー田中さんご自身も藤が丘にお住まいということですが、住みやすいと感じるところはどんなところですか?

最高ですよ!

どこがいいかと言われると、元も子もないというか「そこかよ?」って言われるかもしれないんですが…

東山線って一番本数が多い路線で、多い時だと3分に1本の間隔で出ているんですよね。
しかも一直線だから、栄まで25分くらいで行けるんです。

藤が丘だと、か・く・じ・つ・に座れるじゃないですか。

これが一番いいです(キッパリ)

一社や上社もいい街でほんとに素敵なんですけど、僕は「確実に座れる」藤が丘を推しますね(笑)

今どき大都会で、ラッシュ時にも確実に座れるのってほんとに貴重ですから。
栄までの25分って、座れたら「心の準備」の時間にはちょうどいいんですよ。
僕は仕事柄ライブにもよく行くんですが、そのアーティストの動画を何本か見てチェックしたりしています。

暮らしの面でも、駅前になんでも揃っていて全く困らないです。
おしゃれだったりインスタ映えみたいなお店は栄に行けばたくさんありますけど、普段使いの美味しいお店は藤が丘にもたくさんありますしね。

僕は独身なので子育て環境とかはあまりわからないですが、公園がめちゃくちゃ多いなという印象はあります。
いつ行っても子供達が楽しそうに遊んでて、のんびりしたいい光景だな〜と思いますね。

一人暮らしでも、駅前に一通り揃っているので寂しさはないです。
ガヤガヤしてないし、深夜まで飲めるお店は少ないかもしれませんが、僕はいつも仲良いお店に行っちゃいますね。
今は駅前の高架下のお店が少しずつ減っていってるので、それがちょっと寂しいくらいかな。
高架下はまた賑やかになるといいなと思っています。

編集後記

老舗ライブハウスと商店街のおばあちゃん達が仲良しな街、藤が丘。
こんなハートウォーミングなエピソードが聞けるとは思っていなくて、ほくほくした気持ちでいっぱいになりました。

名古屋にゆかりのある織田信長公は、若い頃「うつけ者」とも呼ばれました。

ヴィジュアル系バンドといえば、当時は大人達が眉をひそめる存在だったかもしれません。
しかし、「黒夢」は日本の音楽シーンの一時代を代表する存在となりました。

年末に訪れたトークイベントに登壇していた愛知県知事の言葉がとても印象に残っています。

イノベーションを起こすのは、いつも『若者』『よそ者』『ばか者』である

これは、MUSICFARMと藤が丘の街の関係そのもの。

藤が丘駅が若い活力にあふれた街でありつづけるためには
『若者』『よそ者』『ばか者』を集めるMUSICFARMの存在が欠かせないものであったことがわかりました。

今後の発展も楽しみですね。

MUSIC FARM概要

住所:名古屋市名東区小池町462-5
TEL:052-772-2314
HP:http://musicfarm.co.jp/

MUSIC FARM DINNER 概要

住所:名古屋市名東区小池町462-1 PROXY SQUARE 小池 2F
TEL:052-799-8899
開店時間:平日 12:00~22:00(L.O 21:30)
土・日・祝 11:00~22:00(L.O 21:30)
定休日:不定休

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veronica
名古屋在住の不動産ライター。方向音痴の宅建士。大学卒業後不動産仲介営業を経験し、結婚で名古屋に転居。現在はポータルサイトで不動産コラムの執筆や企画などを中心に活動中。自称和装が似合うマダム。高校生と小学生のママで、星野源が好きです。