こんにちは、みー@飛翔です。都市デザイン特集に代わって2回目の記事となります。今回の特集は栄の公共空間です。栄の街で何気なく見ているであろう、あんなものやこんなものにフォーカスしていきます!
栄の街は「公共空間」の充実度がすごい!
名古屋の都心の2つの大きな核といえば名古屋駅と栄です。しかしその雰囲気は大きく違います。名駅は超高層ビルが建ちならぶ近代的なエリア、栄は中低層の百貨店が建ち並ぶ昔からの繁華街という感じです。
しかし最近では名駅に負けじと栄も再開発が進行中。最近中日ビル(158.877m)が完成し、現在は栄広場再開発(211.7m)が建設中です。他にも三越(オリエンタルビル)や丸栄、トヨタホームなどいくつも計画があり、いずれも超高層ビルが期待されています。これらが完成すると栄も名駅と伍するビル街となり、もはや超高層ビルというアイデンティティは名駅だけのものではなくなりました。
しかし栄だけのアイデンティティはあります。それは公共空間の充実ぶりだと思っています。おそらくこれは今後も覆ることはないでしょう。
久屋大通パーク
例えばこちら。久屋大通パークです。もともとうっそうとしてた公園を再整備し、人々が集まるショッピングモールと広大な芝生広場が整備されました。この取り組みは大成功。以前は閑散としていた都市公園に人通りが絶えなくなり、エリア全体が活気づくことになりました。
久屋大通公園再整備はとてもよくできており、錦通から桜通のあたりまでは店舗を配し賑わいを創出。それより北側はゆったりとできる広場が設計されています。北側に行くほど落ち着いた雰囲気になります。外堀通に近い側は住宅街なので、栄中心部側に近い側から賑わいと安らぎがグラデーションのように構成されているというわけです。
やはりこういう空間があるのはいいものです。開放的な空間があるので街に回遊性が生まれます。ちょっとこの公園で一息ついていきか、あそこに広場があるからちょっといってみるか、そんな風に思ったら人は街歩きが楽しくなります。
名駅は大きな公共空間がありません。駅前広場再整備やリニア上部の公園などありますが、栄のこの開放感には追い付けないでしょう。あ、名駅をディスってるわけではありませんよ。名駅は国内最大級のターミナルとして、栄とは別路線で発展していってほしいです!
オアシス21
栄にはもう一つ大きな公共空間があります。それはオアシス21です。地下街とも直結し、上空には水盤を張った、落ち着いた空間が広がります。丘の下はバスターミナルにもなっているというまさに都市型立体公園。国内他を探しても類を見ない独創的な建物です。
下から銀河の広場、緑の大地、水の宇宙船という名前がついており、世界観もばっちりです。これが20年前にできた建物というから驚きです。
久屋大通公園とは隣接しているので、水の宇宙船からの景色は開放的です。その向こうに見える栄広場の超高層ビルはめちゃめちゃかっこいいです。整備された区画と緑の奥の超高層、これまた名駅では見られない景色です。
久屋大通公園
久屋大通の錦通より南側は今後整備される予定となっています。今はイベント時以外はあまり使われていない広場ですが、こちらもさらに賑わう広場になるといいなと思います。矢場町付近ではアリーナの建設構想もあります。(最近動いていませんが)
久屋大通公園は南北1㎞を超える公園です。そもそもなぜこんな長大な空間が栄にはあるのでしょう。これはもともと戦後焼け野原になった市街地を再整備するときに大きく市街地を4分割し防火帯をつくるために整備された公園なのです。4分割といったのはもう一つの若宮大通公園を含めてです。
その先人の知恵が今となって人々の賑わいと安らぎの場所として機能しているというのは実に素晴らしいことだと思います。そうして思いをはせて見ながら栄の街を歩いてみるのもいいかもしれませんね。
多種多様な「街灯」の魅力
夜の街を彩るものはいろいろあります。ビルのライトアップ、歓楽街のネオンなどなど。その中でも街灯に注目してみるのも面白いかもしれません。住宅地ではない都心だと前述のようなライトアップがたくさんあるので街灯はわき役になってしまいますが、栄の街には面白い街灯があるのです。
それがこちら。なんだか変わった形をしていますね。シャンポールというそうです。シャンデリアのようなポールということでしょうか?よく見てみるとなかなかインパクトのある形です。
設置されたのは1972年だそうです。路面電車が撤去され、寂しくなった通りに賑わいを出すために設置されたのだとか。ライトの数は48もあり、華やかな繁華街にマッチしています。
しかし少し前は照明として使われていない時期がありました。48個もあるので電気代がかなりかかるという納得の理由です。
ですが近年電気代の少ないLEDに交換され、栄の街を再び照らすようになりました。これからも末永く存続してほしいですね。
他にもこのような変わった街灯も見かけます。栄にこれ以外にも数種類の街灯があり、今回は全部紹介しきれませんが、そのルーツを調べてみても面白いかもしれません。
ちなみに諸説ありますが、日本の大通りで最初に街灯が点灯したのはここ名古屋の広小路通だそうです。
「盲導犬サーブ」の銅像
盲導犬サーブをご存じでしょうか。東海地方の小学校卒なら誰でも知っている?岐阜県で活躍していた盲導犬が、命を懸けて主人を守った物語です。
ある雪の日、サーブを連れていた主人に、雪でスリップした車に突っ込まれるという突然の不幸が襲います。そこでサーブはとっさに主人をかばいました。車の直撃で命を落としても不思議ではない状況でしたが、主人は助かりました。しかしサーブは足に大きなけがを負い、結果的に切断することに。サーブは3本足での生活となりました。
当時サーブに対しては治療代や保険金は全く支払われず、それが当たり前という雰囲気でした。しかし新聞などマスコミに取り上げられることが多くなり、やがて盲導犬も保険金が支払われるべきという論調に代わっていきます。そしてついに「盲導犬は主人の体の一部」という訴えが認められました。サーブの献身的な行動は法律を変えることにつながったのです。
こちらがその銅像。正直上に書いたようなことはぜんぜん知らず、栄広場の再開発が始まったタイミングでいい撮影ポイントはないかと思い、ちょうど犬の銅像があるからここにするか…と決めた程度だったので、この物語を知った時には感動しました。やはり街にあるものをよく見て調べてみるのは重要ですね。
その後、脚を切断したサーブは盲導犬としてはもう活躍できなかったため、盲導犬協会の活動に関わり、11歳まで生きたそうです。しばらく経ってサーブの功績と交通安全を願って銅像が完成。当初名古屋駅にあったそうですがタワーズの工事に伴って今の場所に移設されたそうです。
バス停の上に金シャチ!?
最後にテレビ塔の見えるバス停の上にこんなものを発見しました。両者しゃちほこが対になっています。こういうちょっとした仕掛けに気付けるのも、都市デザイン探訪の面白さの一つですね。
優れた都市デザインの秘密は公共空間に有り?
ということで、今回は栄の公共空間に注目して記事を書いてみました。正直紹介しきれていない部分も多く、栄にはまだまだ面白いものがあります。そういったものにちょっと興味を持ってみて背景などを調べてみると、より街歩きが面白くなると思いますよ!
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『ナゴヤ街ブラ都市デザイン』第2回は以上です。次回から私のコーナーは隔月更新となります。状況により更新頻度は戻していきますので、しばしお待ちください。頻度は下がりますが、代わりに一本一本のクオリティを上げていきたいと思います。次回もお楽しみに!