今回は名古屋の子育て人気エリアの一角、「本山」駅周辺のエリアを調査しました。
子育てに適した「文教地区」
名古屋市指定の文教地区にある
今回のエリアは、名古屋市が指定している文教地区の内部または隣接しているエリアです。
名古屋には「名古屋市文教地区建築条例」があり、この条例で指定されたエリアは「文教地区の良好な環境に支障を及ぼすおそれのある施設は建築できない」という制限があります。
具体的なエリアをざっくりと書くと以下の通りで、概ね本山-八事間と星ヶ丘駅周辺が文教地区として指定されています。
※文教地区は明確な区切りが示されていないので100%正確ではありません。詳細はこちらからどうぞ。
文教地区に指定されることの具体的な意味としては、以下のような建築物が原則として建てられません。
- キャバレー、マージャン屋、パチンコ屋等
- 旅館、ホテル
- 公衆を入浴させる施設
- 個室付浴場等
つまり、文教地区は「いわゆる嫌悪施設」を建てること禁止されているため、子育て環境として一定の配慮がある地区と言えます。
学区について
「本山」駅周辺は人気学区である『東星中学区』『城山中学区』が含まれているエリアです。
学区の位置関係
「本山」駅周辺に住む場合、見附小か東山小のどちらかに通うことになりますが、それぞれ進学する中学が異なります。
- 見附小→城山中
- 東山小→東星中
城山中の学区には覚王山駅が最寄りの田代小、東星中の学区には星ヶ丘駅・東山公園駅が最寄りの星ヶ丘小が含まれているため、今回は見附小・田代小と東山小・星ヶ丘小の4校についてもご紹介していきます。
城山中学区、東星中学区はエリアがそれなりに広く、通学のために最大で2駅分程度の距離を歩く可能性がありますが、いずれも小学校2学区の中間に近い位置に立地しています。
そのため、住む場所によって学校が近い/遠いという違いは少ないでしょう。
見付小、星ヶ丘小はそれぞれ学区の西端、東端に学校があるため、場所によっては通学に時間がかかるかもしれません。
各学校の基本データ
では、各小学校・中学校の基本的な統計データをご紹介します。
各中学校学区には2つの小学校がありますが、それぞれ中規模校+大規模校という組み合わせで、両校とも概ね2:1という生徒比率になっています。
特に田代小、東山小は1,000人を超える大規模校。
学級数が5クラスを超えている学年もあり、市内でも生徒数が上位の学校です。
出典:2022年名古屋市教育調査統計より作成
生徒数、学級数に関しては、1学年に1学級しかないような超小規模校でなければ、生徒数の多い/少ないで大きな弊害はありません。
今回の「本山」駅周辺にある学校は全て2学級以上は確保できているため、その点はどの学校も問題ないでしょう。
強いて言えば、1,000人を超えるような大規模校だと運動会等での保護者の撮影ポイントの確保が熾烈なので、コロナ対策の特別対応が終わった後は苦労するかも…というぐらいですね。
私立中学進学率
これは、「2021年の公立小の6年生の人数」と「2022年の公立中の1年生の人数」を比較して作成しました。
もちろん、転勤等による引っ越しがあり、私立中学進学を理由としない人数の出入りはあるため多少の誤差は生じますが、大きく外れた数字ではないと思います。
本山駅周辺の学区である、城山中、東星中学区の私立中進学率は以下の以下の通り。
出典:2021年および2022年名古屋市教育調査統計より作成
上記の通り、城山中、東星中学区ともに上位となっており、それぞれ約24%、32%と高い数字になっています。
個人的には私立中進学率が2-3割程度という割合はちょうど良いと感じていて、3割だと
「クラスに10人(同性なら5人)程度の中学受験をする生徒がいる」
というイメージです。
程よい割合で中学受験を志す同士が居る、という感じではないでしょうか。
中学校
城山中、東星中の学級数、生徒数は以下の通りです。
こちらも1学年4-5学級という規模で、ちょうど良いのではないでしょうか。
各学校のホームページ
各学校の公式ホームページは以下の通り。
城山中ホームページ →こちら
見附小ホームページ →こちら
田代小ホームページ →こちら
===
東星中ホームページ →こちら
東山小ホームページ →こちら
星ヶ丘小ホームページ→こちら
特に城山中はしっかりとホームページが作られており、教育方針や学校行事、部活動、制服といった詳細な情報もチェックできます。
こういった情報は地味ながら学区選びの参考として非常に有用なので嬉しいところ。
また、田代小のホームページからリンクされている田代小PTAのホームページは毎週しっかりと更新されており、学校イベント等の様子が確認可能となっていたのが印象的でした。(更新担当の苦労を考えると胃が痛いですが…)
周辺環境について
ここからは、「本山」駅周辺の住環境について見て行きましょう。
子育て視点でのポイントを下記にまとめました。
- 日常利用する公園はそこまで充実していないが、平和公園の広場や東山動植物園が近いのが魅力
- 駅近くに駄菓子屋があり「子どもが集まる場所」も用意されている
- 教育環境は必要充分なものが揃っており、特に中学受験塾は非常に充実している
- 生活必需施設はスーパー・コンビニ・小児科は充実しているものの、ドラッグストアが少なめ
では、具体的に見ていきましょう。
公園や遊び場:規模の大きな公園は少ない
正直なところ、大型遊具があったり、ボール遊びが気兼ねなくできる規模の公園が少なく、この点は少し残念なポイントです。
今回、地図上である程度規模が大きいと思われる公園を確認しましたが、以下のようにそこまでの規模ではありませんでした。
特に、安心してボール遊びが出来るような「フェンスに囲まれた空間」が用意されているのは今回チェックした中では二ツ池公園のみ。
これは少し物足りない印象を受けますね。
たおも公園/城山公園/春里公園/日和公園+はるの里ふれあい公園
この4つの公園はどれも簡単な遊具がある小規模な公園で、自転車の練習をしたり、小学校に入った児童が友達とボール遊びをしたりするのには少し狭い公園です。
2つ目の城山公園は比較的広いですが、大通りに面しているので、やはり思いっきりボール遊びをする、というのは厳しいかもしれません。
田代公園/二ツ池公園
この2つの公園は遊具もそれなりにあり、広さも充分あります。
しかし、この2つの公園はともに田代小学区に位置しており、それ以外の学区の子どもが利用するには少しハードルが高そうですね。
一方で、平和公園と東山動植物園が比較的近いため、少し移動時間はかかりますが、こちらを利用するという手もあります。
特に東山動植物園が思ったよりも近距離にあり、電車であれば1駅、徒歩であれば15分程度であり、自転車なら5分ほどの距離。
東山動植物園は高校生までは無料、大人も2,000円で年間パスポート購入できるため、日常利用のハードルはそこまで高くありません。
個人的には全国でも有数の規模を誇る東山動植物園を日常利用できる、というのは通常の公園が少ないというデメリットを補って余りあるメリットだと思います!
平和公園(メタセコイア広場)
下の写真は平和公園の広場の写真ですが、自転車の練習に便利そうなアスファルトの広場やピクニック等で利用できそうな芝生の広場がありました。
(実際に自転車の練習をしている人も居ました)
数は少ないですが、ちょっとした遊具もあり、距離的に日常利用は難しいとしても休日に使う公園としては良いと思います。
駄菓子屋がある
本山エリアには「きらくや文具店」という駄菓子屋が残っています。
上図の通り、場所は「本山」駅から徒歩5分、東山小の目の前に位置しており、「本山」駅周辺に住んでいる場合は利用しやすい立地だと思います。
公式ホームページはないので営業しているか不安でしたが、実際に行ってみるとしっかり営業していました。
今回初めて行ったのですが、店舗は昭和感たっぷりで、内部もどこか懐かしさを感じる雰囲気。
商品も、お菓子・アイス・文房具など、小中学生に必要なものが沢山置いてありました。
毎回言っている気がしますが、小学生低学年の頃からこういうお店にお小遣いを握りしめて買いに行く、という経験は大事だと思うんですよね。
保育環境:私立幼稚園やインターナショナルスクールが充実
「本山」駅周辺には私立幼稚園・インターナショナルプリスクールが充実しています。
バス通園や車での送迎なども視野に入れると、かなり選択肢が多くなります。
特に、インターナショナルプリスクールが複数あることから、やはり教育意識が高いエリアのようです。
【私立幼稚園】
【インターナショナルプリスクール】
私立幼稚園については数が多く、椙山のような超名門校付属の幼稚園があるなど選択肢が多いことが特徴。
園名には記載されていませんが、聖マリア幼稚園もモンテッソーリ教育を取り入れている園です。マリア幼稚園は徒歩通園のため、可愛らしい制服を着た園児に四谷通で出会うことも多いでしょう。
また、城山学院幼稚園はピカチュウデザインの園バスと言えば思い当たる方もいるのではないでしょうか。
なお、園バスの運行が明記されているのが城山学院幼稚園と若竹幼稚園の2園しかないことは頭に入れておいた方が良いかもしれません。
また、保育園やこども園も複数揃っており、未就学児の教育、保育という点で困ることはないでしょう。
なお、千種区の保育園、こども園の情報はこちらから一覧で確認が可能です。
千種区内の保育所マップも用意されており、見やすくなっています。
学習環境:幼稚園から大学までさまざまな教育機関や学習塾が充実
「本山」駅周辺の学習環境は比較的充実しており、隣駅もしくは駅から1-2km圏内に様々な施設があるため、地下鉄または自転車で容易に通うことが可能。
大学受験期も東山線沿線のため千種や名古屋駅といった大手塾がある駅まで乗換ナシで行けるのは大きな強みです。
また、近隣駅の覚王山駅や星ヶ丘駅には、名古屋の名門女子大御三家「SSK」の一角である「椙山女学園」の校舎が点在。大通りから見える椙山中高の校舎群は存在感があります。
さらに、椙山以外の学校も多く、椙山女学園大学の隣には偏差値や進学実績で常に上位に入っている菊里高校、進学すると名古屋ではヒーロー扱いされる名古屋大学、それ以外にも愛知学院大学、愛知工業大学のキャンパスがあるなど、様々な教育施設があります。
公文式
早期教育でよく名前が挙がる公文式ですが、以下のマップの通り、「本山」駅周辺には複数の教室があります。
田代小学区(水色)の北東部が若干少ない気がしますが、それでもそれなりの密度で教室があるため徒歩~自転車で通うことが可能だと思います。
中学受験
中学受験を考えた場合、東海地区では一般的に大手4塾(日能研/名進研/浜学園/馬渕教室)のどこかに通うケースがほとんどです。
「本山」駅周辺は名古屋で中学受験をする環境としてはかなり恵まれていると言って良いと思います。
- 大手4塾のうち浜学園以外の3塾が揃っている
- 名進研と馬渕教室の本山校は上位クラス(Sクラス/SSSTクラス)が設置されている
- 国立中対策のマイシフト、老舗の西塾もあり、大手4塾以外も選択肢が豊富
- 日能研は東山公園駅、一社駅にも教室がある
このように、大手だけでなくそれ以外の選択肢もあるため、お子さんの特性に合った塾選びができそうですね。
高校受験
「本山」駅周辺の大手高校受験塾の状況は以下の通り。
中学受験塾のように、かなり充実している!という感じではないですが、「本山」駅及び隣駅周辺に豊富な種類の塾が用意されているので自分に合った塾を探せるでしょう。
また、2駅先になりますが、近年の上位公立高校進学実績を伸ばしている河合塾Wingsがあるので、トップ校を狙う場合も通いやすいと思います。
余談ですが、河合塾Wingsは合格者内申点の平均が43(満点の95%超)もあるようなトップ校を本気で狙う生徒も多く、小5から通塾する例も珍しくありません。
そう考えると「小学生のうちから2駅先の塾に通う」には、少し慣れが必要かもしれませんね。
生活必需施設:スーパーはまずまず、ドラッグストアは少なめ
スーパー・コンビニ
スーパーの数は多いとは言えませんが、各中学校学区に1つ以上あるため、買い物に困るほどではないでしょう。
種類もマックスバリュといったお値打ち路線から、高級路線のフランテ、デパ地下の三越まで揃っているため、シチュエーションに合わせて選べる環境です。
コンビニは前回までの都心部に近い場所に比べると少し寂しく感じますが、極端に少ない、ということはありません。
強いて挙げるとすると、東山小学校学区の中央~北東部と星ヶ丘小学校学区が少なく感じますが、これはそれぞれ「そもそも平和公園が大半で人が少ない」「星ヶ丘小学区も東山公園エリアを除くと学区エリアが狭い」という事情があるため、問題にならないでしょう。
ドラッグストア
正直に言ってドラッグストアは少なく、1km圏内に4店舗、そこから少し離れた場所にも池下駅に2店舗あるだけです。
つまり、住む場所によっては徒歩圏にドラッグストアがない、ということもありえます。
- 「本山」駅至近にあるスギ薬局とB&Dは小規模店舗
- 駅北東にあるココカラファインは規模は大きくないものの、精肉なども扱っており品揃えは良いが、駐車場が狭く、駐車可能台数が少ない。
- 駅の北西にあるVドラッグは駐車場が大きく、品揃えも豊富
「本山」駅の南側に住む場合、ドラッグストアは駅上のスギ薬局を利用するか、車や自転車を使うことになりそうです。
小児科
小児科は「本山」駅から1km圏内に10件、2kmまで広げると25件あり、非常に充実しています。
余談ですが、「本山」駅の近くには視力回復トレーニングを行っている珍しい眼科があります。
効果の程はわかりませんが、その病院の近くでは近視が進行しがちな小学生の親子連れをよく見かけます。
名古屋市は子どもの医療費は無料なのでダメもとで通う、というイメージなんでしょうかね…
まとめ
以上、「本山」駅周辺の状況とその魅力についてご紹介してきました。
- 2つの人気学区が集まる子育て世帯注目のエリア
- 名大、椙山、菊里といった名門校が周辺にある名古屋市指定の文教地区
- 複数の中学受験塾等、人気学区の名に恥じない充実した教育環境を有する
- 生活環境も必要充分なものが揃っている
- 東山動植物園に気軽に行ける希少な環境にある
- 数少ない弱点はドラッグストアと規模の大きな公園が少ないことぐらい
「本山」駅周辺はやはり人気学区だけあって子育て・教育という視点では充実しているエリアでした。
何よりも、「名古屋市が指定している文教地区」というのは安心感がありますね。
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【参考】町名と学区のリスト
2022年9月時点における町名と学区の関係については以下の通りです。
(名古屋市ホームページ:「市立小・中学校の通学区域一覧」より)
見付小学区
朝岡町3丁目(※1)/池園町/稲舟通1丁目/稲舟通2丁目(※2)/鏡池通3~4丁目/唐山町1~2丁目(※1)/幸川町/松竹町/末盛通4丁目/末盛通5丁目(※1)/園山町1丁目(※1)/園山町2~3丁目/仁座町/萩岡町/東山通1丁目(※1)/東山元町/不老町/見附町/四谷通1~2丁目(※1)/四谷通3丁目
※1:見付小/東山小学区が混在
※2:見付小/田代小学区が混在
田代小学区
稲舟通2丁目(※2)/大島町/丘上町/御棚町/鏡池通1~2丁目/覚王山通8~9丁目/川崎町/観月町/菊坂町/桐林町/山門町/城山町/末盛通1~3丁目/田代町字四観音道西(※3)/田代町字四観音道東/田代本通/月見坂町/南明町/西崎町/西山元町/日進通2~6丁目/日岡町/姫池通/法王町/穂波町/堀割町/丸山町/山添町
※2:田代小/見付小学区が混在
※3:田代小/高見小学区が混在
東山小学区
朝岡町1~2丁目/朝岡町3丁目(※1)/池上町/鹿子町/唐山町1~2丁目(※1)/唐山町3丁目/清住町/楠元町/新池町/末盛通5丁目(※1)/園山町1丁目(※1)/田代町字鹿子殿/東明町/徳川山町3丁目(※4)/徳川山町4丁目(※4)/猫洞通/橋本町/東山通1丁目(※1)/東山通2~5丁目/日和町1丁目(※4)/日和町2~5丁目/平和公園一丁目(※5)/平和公園二丁目(※5)/平和公園三丁目/本山町/四谷通1~2丁目(※1)
※1:東山小/見付小学区が混在
※4:東山小/自由ケ丘小学区が混在
※5:東山小/富士見台小学区が混在
星ヶ丘小学区
井上町/桜が丘/田代町字瓶入/天白町/平和が丘三丁目/星ケ丘/星が丘元町/星が丘山手