あまなっとう思い出の地「川名」
連載初回から運命を感じている…
実は就職して初めての勤務先が名古屋。しかも独身寮が川名にあったのだ。
大阪から出てきたばかり。右も左も分からぬままドブ板外交の日々(金融営業してました)。疲れ切った体と心を、当時どれだけ川名めし(?)に癒してもらったか…
このエリアを歩くと、かつての思い出(辛いことの方が多かった涙)が脳裏に鮮明に蘇る。
名古屋市民にとって川名は広大な公園のある閑静な高級住宅地。その反面、飲食店は少ないというイメージがあると思う。
でもそのイメージは間違い。実は川名には名古屋でも外しちゃいけない銘店がある。
今回はその中でも「三大川名の主」ともいえる昔からずーっと地元民に愛される3つのお店を紹介したい。
「三大川名の主」とは?
飲食店コングロマリット『比呂野』グループ
広路14号通り沿いに、喫茶・とんかつ・うなぎ・きしめん天むす4種類!の専門店が立ち並ぶ、他では見たことがないユニークな店舗形態。
地元マダムに聞くと「比呂野があれば他の飲食店はいらない」と真顔で言われた(笑)。
でもあながち誇張ではなく、それぞれのお店の味とサービスのレベルは相当に高い。お気に入りは「とんかつ家比呂野」。荒めのパン粉でサクッと揚げられたトンカツが旨い。
味噌煮込みうどん『まことや』
昭和区民にとって「味噌煮込みは山本屋よりまことや」と言われるほど地元に愛された老舗。
山本屋のこってり濃厚味噌に比べて、まことやは少しあっさり優しい味。その分、豆味噌の香ばしさや渋みがよく分かり毎日食べても飽きない味噌煮込みうどん。
出汁をたっぷり吸わせるために、エビ天の衣があえて分厚くなっているのもまことやの特徴。熱々の出汁を吸ったフヨフヨの衣を火傷覚悟ですすり込むのが流儀。
極上の名古屋コーチンに驚愕…『せら』
そして大トリは名古屋コーチンの『せら』。
日本一の名古屋コーチンが食べられると名古屋食通たちに噂されるお店。「極上 純系名古屋コーチン」は1週間以上前の予約が必須(おかげで入稿ギリギリに…)。
極上なのは飼育方法の差。通常は120〜130日間コーンを主体に飼育されるのに対して、「せら」の極上は180〜200日間お米を主体に飼育。広めの環境でノンストレスで育てられるのが特徴。
この極上名古屋コーチン、飼育期間が長いのでサイズがデカい。しかも丸ごと一羽!1羽で2人前だけど、3人で訪問して充分なボリュームだった。
刺身の盛り合わせ
いきなり人生イチの鳥刺しに出会ってしまった…適度な歯応えと肉の旨みの濃さ。
肝の新鮮さと脂のノリに驚愕。目をつぶって食べるとカワハギの肝と勘違いするかも…
一度経験しちゃうと2度と他の鳥刺しが食べられないかもしれない。
焼き物の盛り合わせ
地鶏のようなしっかりとした弾力があるのに、お米で育てられているためか溢れ出る肉汁や脂がビックリする位に洗練。
特に手羽先とせせり(なんと骨付き)のジューシーさと、もも肉の噛むごとに溢れ出る上品な肉汁にうっとり…
肉汁をたっぷり吸ったネギや椎茸も衝撃の美味しさ。
ムネ肉のフライ
急に家庭的?と思ったけど一口食べて震えた…
柔らかさの中に適度な弾力があり、旨みの濃さが段違い。今まで食べたチキンフライが霞んでしまうほど。これを目当てに訪問するお客さんも多いとか。
コーチン鍋
鳥自体の美味しさを味わってほしいと出汁はいたってシンプル。鍋で炊いたコーチンの歯応えや美味しさも上々。
コーチンから出てくる旨みが煮詰まってきたところで〆は雑炊。これも凝縮された濃厚なコーチン出汁を米がギュンギュン吸って美味しかったなぁ…
結論
間違いなく人生で一番の鶏肉を食べた夜だった。
肉の旨みも歯応えも段違いだし、上品で洗練された味わいは他の地鶏では経験できない別次元の世界。
こんな出会いが待っていたなんて…だから食べ歩きはやめられない。
川名にはこんな魅力的な名店の極上グルメ体験が待っている。今回紹介しきれなかったオススメのお店もまだまだある。取材し直して、改めて川名は良い街だなぁ…と感じることができた。
かつての独身寮に住み直そっかな(ムリ)。