今回は、名古屋を代表する観光名所でもある「熱田神宮」周辺に位置する3つの駅を特集します。
年末年始の参拝客で賑わうことが予想されるこのエリア。
お参りに行かれる予定の方も、お引越しを検討されている方も、ぜひチェックしてみてくださいね。
名鉄「神宮前」駅/JR「熱田」駅/地下鉄名城線「熱田神宮西」駅
今回の特集駅は「熱田神宮」の周辺にある名鉄「神宮前」駅/JR「熱田」駅/地下鉄名城線「熱田神宮西」駅の3駅。
(2023年1月、地下鉄名城線「神宮西」駅が「熱田神宮西」駅と改称されました。)
熱田台地の南端にあるこのエリアは旧東海道であった国道1号線にも近く、古くから交通の要衝であった地域。
また、江戸時代には東海道最大の宿場町として栄えました。
3つの路線が利用可能なことで、名鉄「神宮前」駅は地下鉄名城線「熱田神宮伝馬町」駅にも近く、他路線に乗り換える際のバイパスエリアとしても機能しています。
特に名鉄「神宮前」駅には特急・急行・快速も停車。名古屋駅やセントレアなど名古屋の玄関口へも好アクセスです。
熱田神宮
初詣、お宮参り、七五三、厄祓い、交通安全祈願、安産祈願・・・
名古屋市民なら、こうした人生の節目に一度は参詣する「熱田神宮」。
年間700万人もの参拝者を迎える由緒正しい神宮ですが、その由来をご存知でしょうか?
熱田神宮は、三種の神器のひとつである「草薙神剣」を神体として祀る神社。
その始まりは「日本武尊」と「草薙神剣」の物語を起源としています。
日本武尊が東征中に危機に瀕し、叔母の倭姫命から授かった天叢雲剣で窮地を脱し、これが後に「草薙神剣」と呼ばれるようになりました。
尊の死後、妃の宮簀媛命が「草薙神剣」とを熱田の地に祀り、奉斎の日々を送ることで「熱田神宮」の創祀が成されたのです。
境内の広さは約19万㎡。足を踏み入れると、まずその静けさと豊かな緑に圧倒されます。
森林公園や緑地公園で感じるものとは少し違う、どこかしら「厳かな」空気。周辺の賑やかさを忘れてしまうほどです。
樹木にはクスやケヤキ、カシなどがあり、特に巨木のクスは千年以上前のものも。代表的な樹木としてには「大楠」「ならずの梅」「太郎庵椿」などがあります。
神社を訪れたのは11月の半ば。
七五三シーズンのためか、ご両親に手を引かれて歩く可愛らしい晴れ着姿のお子様の姿も多々ありました。
暮らしの営みの節目節目に訪れる神社。地元に立派な神社があるというのは、誇らしいものだなと改めて思いました。
宮きしめん
「熱田神宮」にお参りしたら、ぜひ立ち寄ってほしいスポット。
2021年7月にリニューアルされた建物は、自慢の木々に囲まれたテラス型の食事処です。
メニューには甘味も追加され、境内の散策で疲れた体もほっこり癒されそうです。
薄い緑の瀬戸焼の丼。かめばじゅわっと出汁がでる椎茸。「宮」と書かれた蒲鉾と、ほうれん草、ねぎ。仕上げにかつおぶしをたっぷりと。
この日は午後2時を過ぎていてお腹がぺこぺこだったので、白エビのかき揚げをのせました。
深緑と木漏れ日が映り込む出し汁が、歩き回って少し冷えた体をじんわり温めてくれます。
隣接して、池を取り囲む庭園「くさなぎ広場」と「剣の宝庫 草薙館」があります。
店舗概要
住所:名古屋市熱田区神宮1-1-1 熱田神宮境内
営業時間:9:00~16:30
特別営業:12月31日 22:00~翌日5:00
1月4日 22:00~翌日3:30
定休日:年中無休
初詣
毎年多くの人で賑わう熱田神宮の初詣。
周辺には、30日〜成人式くらいまで出店が立ち並びます。
特に人出が多いのは大晦日〜三が日で、社殿の前は大混雑になるそう。
警備員も増員して誘導にあたるそうです。
大晦日は22時半くらいまでに来れば、スムーズに社殿前にお参りできるとのことです。
特に気をつけたいのが、1月5日の「初えびす」。
商売繁盛・家内安全・漁業豊漁を祈る祭りで、毎年多くの参拝客で賑わいます。また、縁起物として「福熊手」と「福箕」などがあります。
熱田まつり(尚武祭)
毎年6月5日に開催される、市民に広く親しまれる熱田まつり(尚武祭)。
天皇陛下のおつかいが参加する重要なお祭りでもあり、地元住民はこの日に「菖蒲湯」に浸かる習わしがあります。
普段は見られない武道や芸能が奉納され、夕方に灯されるまきわら提灯はなんとも美しい風景。熱田神宮公園から花火が1,000発も打ち上げられます。
街ゆく浴衣姿の人を見て「ああ夏が来た」と感じさせてくれるお祭りの1つです。
熱田神宮 施設概要
住所:名古屋市熱田区神宮1丁目1−1
TEL:052-671-4151
駐車場:400台(東門300台/西門40台/南門/60台)
町並み〜歴史と文化の街〜
「熱田神宮」だけでなく、神社仏閣が数多く集まる熱田区。
「断夫山古墳」「白鳥古墳」などの史跡や、宿場町の面影を残す「七里の渡し船着き場跡」(宮の渡し公園内)など、趣深い歴史の足跡を辿ることができます。
「熱田神宮」は公共施設のため第二種住居地域になっているものの、東側の名鉄とJRの線路沿いは商業地域に指定されています。
また、神宮の北部や西側は神社仏閣が数多く集まるエリアで、マップを見ても「卍」の字が多数あることがわかります。古いお家も多く、下町風情あふれる街並みが魅力。
利便性の高い場所でありながら、古くからの街のためか大通り沿い以外は戸建中心の街並み。また、1階に店舗・2階に住宅という昔ながらの「職住近接」スタイルも多く見受けられます。
熱田神宮駅前地区まちづくり構想
現在、名鉄「神宮前」駅の西側地区は再開発工事の真っ最中です。
元来交通の便がよく観光名所としてのポテンシャルの高い「熱田神宮」。
しかし、その知名度や周辺施設の充実には課題がありました。
そこで、地元企業や団体が中心となり、熱田神宮周辺のまちづくり協議会が発足。
「熱田神宮駅前地区まちづくり構想」がまとまり、再開発事業がスタートしたのです。
基本方針は2つ。
1つ目は、「熱田神宮」の門前町を再生すること。参拝者をもてなすまちづくりを目指します。
2つ目は、耐震化や不燃化を重視し、既存の商店街や周辺地域の観光資源を活用しながら魅力的な空間を整備すること。また、大型観光バスの駐車場や歩行者空間の確保、イベントスペースの設置などが検討されています。
歴史〜名古屋三英傑に愛され、江戸時代は宿場町として発展〜
名古屋三英傑にゆかり
古くから朝廷や武将から崇敬を集めていた「熱田神宮」は、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三英傑にも親しまれました。
中でも織田信長は格別だったと言われています。
勝ち目がないと言われていた今川義元を討った「桶狭間の戦い」。この戦いに出陣する際、「熱田神宮」で必勝祈願を行いました。岐阜城から熱田の地まで4時間で馳せ参じたとの説も。
その後、大勝のお礼として奉納された重厚な築地塀(ついじべい)は、「信長塀」として現存しています。
また、信長は戦国時代の混乱で社殿の荒廃が進んだことに心を痛め、度々造営を命じました。
豊臣秀吉の時代には、押売狼藉・喧嘩口論の停止など、さまざまなルールを定めたことで門前町が発展。
徳川家康は幼少の頃に熱田町で人質として過ごしていたこともあり、特別な思いがありました。
そのためか、熱田町は神領地として年貢や諸役を免除されていたそうです。
東海道最大の宿場町
江戸時代には、参勤交代に伴って東海道が本格的に整備されます。熱田宿(宮宿)は東海道五十三次最大の宿場町として賑わうようになりました。
「七里の渡し」は東海道唯一の海上ルートで、宮宿と桑名宿を結ぶ27.5kmの航路。
熱田宮宿繁栄の様子は、歌川広重の浮世絵でも多く残されています。
神宮の周辺には、現在も多数の神社仏閣が残っています。熱田宮宿の繁栄が、名古屋の庶民の歴史の礎となった地域であることがわかります。
地元経済の発展を支えた堀川
名古屋城から名古屋港まで、名古屋のほぼ中心部を南北に貫く堀川。
江戸初期に建築資材運搬用の運河として福島正則によって開削されたと言われています。
かつて「白鳥」には有名な貯木場があり、木曽(きそ)ヒノキの集散地として有名でした。この海運に使われたのが堀川。貯木場は広範囲に拡大し、名古屋港開港後は海外からも木材が輸入されるようになりました。
しかし、伊勢湾台風の際に甚大な被害が出たため、木材取り扱いは西部木材港に移転することに。
平成に入ると、高度経済成長期に地元経済を支えた堀川の水質が問題視されるようになりました。現在も、河川整備や水質浄化に向けた様々な取り組みがなされています。また、市民と協力して運河沿いの雰囲気を活用したまちづくり活動も行われています。
現在、堀川は街の憩いの場に姿を変えています。
熱田空襲
第二次世界大戦末期の1945年6月9日、名古屋大空襲のひとつである熱田空襲がこの地域を襲いました。
大きな被害が出たのは、当時軍用機を作っていた愛知時計電機船方工場・愛知航空機(現愛知機械工業)工場周辺。午前9時30分頃の爆撃だったため、従業員や動員学徒など多数の犠牲者が出ました。
さらに、この空襲では「熱田神宮」の社殿(明治26年竣工、三重県の「伊勢神宮」と同じ神明造のもの)も焼失しています。
編集部イチ推し!ライフインフォメーション
生活利便施設(買い物施設・公共施設)
ミュープラット 神宮前店/パレマルシェ 神宮前店
名鉄「神宮前」駅直結のショッピングモール。
(ミュープラットとは、名古屋鉄道(名鉄)が展開する商業施設のこと)
1階にスーパーマーケット『パレマルシェ 神宮前店』が入っているため、仕事帰りの食材の調達に便利そう。駅側から店内に入ると、お惣菜など「中食」が充実しているため、一人暮らしや共働き家庭にうれしいラインナップですね。
2階以上の専門店には、ドラッグストアや100円ショップ、無印良品なども。さらに、クリニックも入っているため、この駅を使う人はここさえあればある程度必要なものは揃いそうです。
店舗概要
住所:名古屋市熱田区三本松町18-4
開店時間:10:00〜21:30
営業時間
スーパー:9:00〜21:00
ショップ:10:00〜21:00
レストラン:11:00〜21:30
駐車場:東駐車場(約170台)、西北駐車場(約35台)
イオンモール熱田
JR「熱田」駅から北へ徒歩約10分、JRと名鉄の線路沿いに位置するショッピングモール。
通称『熱田イオン』と呼ばれることも多いこのモールは、2011年に『イオン熱田ショッピングセンター』から改称しました。(『イオン熱田ショッピングセンター』は2003年オープン)
当時としては愛知県内で最も高い高層建築物となった2009年分譲の『ザ・ライオンズ・ミッドキャピタルタワー』に隣接しています。
名鉄・JR・地下鉄が乗り入れるターミナル駅「金山総合」駅からも徒歩圏内。また、金山からは無料のシャトルバスも運行しています。
個人的なここの推しポイントは「ちょうどいい」ということ。
駐車場が広く、直営店も程よく充実。
大人の憩いの場であるKALDIがあり、手土産にちょうどいいLUPICIAもある。
ユニクロ&GUが両方揃い、H&Mもある。
無印良品もSeriaもある・・・
食品もファッションも雑貨類も、程よく揃っているのです。
にもかかわらず、休日でも比較的快適に買い物できる程度の混み具合。
他にも色々ご紹介したいポイントもありますが、ここはグッと堪えて、あつまれAEONの森の公開を待ちましょう!
店舗概要
住所:名古屋市熱田区六野1丁目2-11
TEL:052-884-0200(お客様専用ダイヤル)
営業時間
イオン熱田店:9:00~23:00(1F 食品売場のみ8:00~23:00)
専門店:10:00~21:00
フードコート 10:00~21:00
レストラン街 11:00~22:00
アオキスーパー 熱田店
名鉄「神宮前」駅から南東へ徒歩13分、比較的駅からの距離があるにもかかわらず、いつも賑わっているホームセンター併設のスーパー。
駐車場が広く、アクセスもスムーズ。
ホームセンターのDCM21やあかのれん、100円ショップのSeriaあります。
ちょっとした日用品の買い物や、車を利用してまとめ買いをする人には使い勝手が良さそうですね。ペットショップやペットのクリニックもあります。
店舗概要
住所:名古屋市熱田区花表町2103番1
TEL:052-889-2877
開店時間:10:00〜20:00(日曜日は9:00〜20:00)
熱田区役所・熱田文化小劇場
JR「熱田」駅の南部、大津通沿いに、熱田区役所と熱田文化小劇場があります。
2つの施設はつながっているため、存在感のある建物です。
施設概要
熱田区役所
住所:熱田区神宮3丁目1-15
TEL:052-681-1431
開庁時間:平日8:45〜17:15
閉庁日;土日・祝日・休日・年末年始
熱田文化小劇場
住所:名古屋市熱田区神宮3丁目1-15 北館 2F
開館時間:9:00〜21:30 (利用状況により早期閉館する場合あり)
休館日:毎週月曜日
おすすめスポット
神宮東公園
『イオンモール熱田店』などに近い南北に広がる緑豊かな公園です。
南北に分かれた散策コースがあり、木々や水辺を楽しみながら散歩できます。
公園内には児童遊具や広場、健康器具、バスケットゴール、水辺などがあります。
北側エリアには木々の多い芝生広場があり、池や野鳥も見られます。
南側には自由広場やバスケットゴール、遊戯広場があり、家族連れで賑わいます。
桜の季節にはお花見にも最適。広い芝生エリアでは家族で楽しむことができ、球技広場もあります。
熱田神宮公園
堀川沿いの住宅地、旗屋町にある運動公園。公園内には「熱田球場」「断天山古墳」や球技場があります。毎年6月5日の「熱田まつり」の花火は、この公園から打ち上げられます。
「熱田球場」では高校野球大会などが開催されています。他にもグランドゴルフやテニスコート、遊具が設置された児童園もあり、思い切り体を動かせるスポット。
一方、この公園内には「断天山古墳」もあります。東海地方最大級の前方後円墳ですが、許可なく立ち入りできません。散策コースとして周囲をぐるりと回るだけでも、良い運動になります。
無料駐車場が国道19号沿いにありますが、堀川沿いは野球関係者専用のため注意が必要です。
施設概要
住所:名古屋市熱田区旗屋1-10-45
TEL:052-681-5204
きよめ餅総本家
江戸時代、五穀豊穣や家業繁栄を願って遠方から「熱田神宮」へ参拝する人々が増えました。
江戸中期に「きよめ茶屋」が設けられると、参拝客がお茶を飲んで旅の疲れを癒し、姿を正してから神前に向かう習わしができたそうです。
『きよめ餅総本家』は、そのような歴史を踏まえて昭和10年に開業。戦禍を乗り越え、今も熱田名物として名古屋市民や観光客に愛され続けています。
なめらかで上品な舌触りのこしあんが、赤ちゃんのほっぺたのようなすべすべの羽二重餅でくるまれた可愛らしい姿。
市内にお住まいの方はすべすべのほっぺたの映像に「うわぁ、きよめ餅みたい!」という台詞のテレビCMを覚えている方もいるかもしれませんね。
店舗概要
住所:名古屋市熱田区神宮三丁目7番21号
TEL:052-681-6161
営業時間:8:30〜18:00(年中無休)
ホームページ
ICメイツ
「熱田神宮」の東門から、大津通を挟んで向かい側にある老舗の純喫茶。
ここは、かつて毎週土曜日にライブ営業をしていて、数多くのアーティストが集った喫茶店として有名です。今池でもなく、栄でもなく、熱田から名古屋へ、全国へ飛び立っていたミュージシャンも多いとのこと。
現在は、前オーナーが引退し、ライブ営業は行っていません。
しかし、純喫茶としてもなかなか味わい深いスポットです。
聖地巡りのつもりで訪れても、残念ながらサインが飾られているわけでもありません。
その分け隔てしない姿勢こそが、アーティストにとって居心地の良い空間だったのかもしれませんね。
ヨーグルトを使ったパフェが人気とのこと。
甘酸っぱいパフェと共に、往年のミュージシャンに想いを馳せてみてるのはいかがでしょうか。
店舗概要
住所:名古屋市熱田区神宮3丁目9−18 扇屋ビル
営業時間:7:30〜18:00
定休日:日曜日
TEL:052-671-1158
新・神宮東中日ハウジングセンター
JR「熱田」駅から徒歩7分の距離にある、名古屋市内最大級面積の住宅展示場。
積水ハウス、旭化成ホームズ、ミサワホーム、一条工務店など…
人気の住宅メーカーのモデルハウスがずらりと立ち並びます。
コンセプトは、ZEHとIoTを体感できる最先端の展示場とのこと。
駅からのアクセスも便利ですが、無料駐車場は220台分。
イベントも充実していて、家を建てる人もそうでない人も丸一日楽しめるスポットです。
”あの”広大な土地
熱田区三本松町にある、『旧・神宮東中日ハウジングセンター』の住宅展示場ががあった土地。現在は、広大な土地がぽかんと空いています。
何か商業施設ができるのか、それともマンションか。
駅も近いし、「神宮東公園」も近いし、『イオンモール熱田店』も近いし、便利なエリアです。
今の所計画は発表されていないようですが、名古屋市民としては気になるスポットですよね。
飛翔さんのブログ更新が楽しみになります。
取材後記
名古屋の人気の住宅地といえば、戦後に宅地開発された名古屋市東部や地下鉄東山線沿線を思い浮かべる人も多いはず。
しかし、「熱田神宮」周辺の住宅街を歩いてみると、街中に神社やお寺が点在し、古くから人の暮らしが息づいていたことがわかります。
季節の移ろいを感じられる「熱田神宮」に近いだけでなく、名古屋駅やセントレアといった玄関口に好アクセスな点も大きな魅力。
「熱田神宮」とともに、名古屋の伝統や文化を支えてきた町。駅前再開発では、門前町の発展や街の魅力がさらに底上げされることも楽しみですね。