"ナゴヤ経済圏"企業探訪記

【千種区千種】日本初のコンタクトレンズを作ったすごい企業! — コンタクトレンズ国内No,1の「株式会社メニコン」

隼河ジョンです。今回の「”ナゴヤ経済圏”企業探訪記」はメニコンです!
読者の皆さんもお使いの方がいらっしゃると思いますが、どんな企業なのでしょうか?

株式会社メニコンとは

株式会社メニコンとは1951年(昭和26年)に日本で初めて角膜コンタクトレンズの実用化に成功した日本コンタクトレンズ研究所を源流とする会社で、本社は、愛知県名古屋市中区葵三丁目21番19号です。

  • 企業の名前
    株式会社メニコン(英語名:Menicon CO., LTD.)
  • 設立年次
    1957年
  • 本店所在地
    愛知県名古屋市中区葵三丁目21番19号
  • 資本金
    5,521,470,000円(55億2,147万円)
  • 業務内容
    コンタクトレンズ・ケア用品事業他
※以上の情報は第67期有価証券報告書及び第68期半期報告書をもとに書いております。

ではこの「メニコン」はどのような会社なのか、早速見ていきましょう!

メニコンのすごいところ!

日本初のコンタクトレンズを開発!

2021年のラジオでは、以下のようなことが話されています。

戦後復興期、創業者である田中恭一さんが20歳のときに名古屋の老舗メガネ店で働き始めます。

ある日、アメリカ軍将校の夫人が来店しました。彼女が何気なく漏らした一言、「アメリカにはコンタクトレンズというものがある」。
興味を抑えきれず、夫人に見せてほしいと言いましたが、あえなく拒否。一つのチャンスを逃した悔しさをバネに、独学での挑戦を始めました。

光学などは詳しくなかったものの、直感で開発を進めわずか3か月で、コンタクトレンズのプロトタイプを完成させました。

田中さんが直面したのは、「本当にこれで視力が補えるのか」という疑問です。親族などに拒否されたために彼は決意します。彼は自分の目に入れてみました。すると、驚くことに「痛みもなく、よく見えた」のです。この成功体験が彼に自信を与え、さらに改良を重ねる原動力となりました。

完成したコンタクトレンズを手に、田中さんは研究機関に持ち込みある一人の教授が興味を持ってくれました。当時の直径20ミリの「強角膜レンズ」という装用すると痛みを伴ったレンズに比べ、田中さんのレンズは直径10ミリで、黒目だけをカバーする設計。20ミリが瞼で挟むことを前提にしていたためか、研究者からは「小さすぎて落ちるだろう」と疑問視されました。しかし患者は痛くなく、よく見えると好評でした。

※『第15回メニコン創立70周年!ポッドキャスト』内容を筆者が要約

夫人のコンタクトの形式は不明ですが、主流の強角膜コンタクトだった場合には開発できなかっただろうと回想します。
知識がなかったがゆえに、素晴らしい製品ができたということですね!

将来的にどんな企業になるのか?

現在も独自の技術やシェアを獲得していますが、将来的にはどのようなことを構想しているのでしょうか?

そこで役に立つのが「中期経営計画書」や「統合報告書」「事業報告書」です。

中期経営計画書は、三から五年の経営方針をまとめたもので今の会社の状況と将来なりたい姿やあるべき姿との差を埋めるロードマップです。野球の有名人でいえば、大谷選手の将来設計シートですね。

一方、統合報告書や事業報告書は投資家やメディア向けに自分の立ち位置やロードマップを示すものになります。特徴として挙げられるのはわかりやすい資料であるということ。初心者が見てもわかりやすいようになっています。ただ、事業報告書は株主などに送ってみてもらうための資料になりうることもあるので、選任などのために取締役の情報なども細かく乗っているなど載っている情報が少し違っています。

さてここでは、事業報告書からメニコンのなりたい姿=ビジョンを少し見ていきましょう。
▲上記画像はメニコン中期経営計画より

当社グループは、「Vision2030」を実現するため、2つの成長戦略方針として「1DAY戦略方針:独創性のある製品とサービスで、1DAYグローバルトッププレーヤーを目指す」、「オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)戦略方針:近視進行抑制に関する新たな価値を創造し、オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)のリーディングカンパニーを目指す」を設定しております。 「1DAY戦略方針」のもと、1日使い捨てコンタクトレンズの足元の需要拡大に対応するべく、各務原工場での 「1DAYメニコン プレミオ」シリーズや、Menicon Singapore Pte. Ltd.での「Magic」シリーズの新たな生産ラインの稼働を開始いたしました。そして、中長期的に強い成長が見込まれるため、Menicon Malaysia Sdn. Bhd.での新工場建設を進めており、継続して1日使い捨てコンタクトレンズの供給能力の強化を実施してまいります。「オルソケラトロジー関連(近視進行抑制)戦略方針」のもと、市場の大きいアジアを中心にグローバルでオル ソケラトロジーレンズや、オルソケラトロジーレンズに使用されるケア用品の販売を実施してまいりました。オル ソケラトロジー関連製品は引き続きグローバルで安定的な成長が見込まれるため、継続して販売の強化を実施して まいります。

※メニコン2024年6月第67期(自 2023年4月1日 至2024年3月31日)本文より

現在、ワンデーコンタクトレンズが市場で大きくシェアを伸ばしているのでそれの対抗としての拡大だと思われます。簡単に言えば、需要があるのでそこに注力します!ってことですね!

企業分析をしてみよう

日本のコンタクトレンズ市場の一位を取っている状態だと言いますが、今はどのような状態なのでしょうか。そこで必要になるのが「統合報告書」や「有価証券報告書」です!第一回で細かく説明したので、今回は簡単に見ていきます!B/Sやキャッシュフローの詳細な説明が見たい方は、ぜひ第一回目の「」をご覧ください!

有価証券報告書は主に様々な企業情報が記載された、いわば「株式会社の健康診断書」になるものです。これらから、今のメニコンの姿を見ていきましょう!ちなみにここではメニコンのグループまで含めた連結経営指標を用いていきます。

「貸借対照表(バランスシート)」を見る

まず、バランスシートを見ていきましょう。別名、貸借対照表(Balance Sheet: B/S)といい、会社がどれだけ財産を持っているかが分かります。項目は資産の部と負債の部に分かれています。

メニコンの純資産がいくらになるかというと、810億円8400万円です。自己資本比率で言えば44.1%ということになりますね。コンタクトレンズ市場で一位だと考えられるジョンソンエンドジョンソンが41.04%(23年12月)だと考えると高い数字ではあります。一方で、グラフにしてみるとこのようなことがわかります。

これは、左側が棒グラフ、右側が折れ線グラフに対応しています。まず、棒グラフを見てみると、純資産はだんだんと伸びている一方で、総資産は急激に伸びていっていることがわかります。そして折れ線グラフを見てみると、自己資本比率が棒グラフの総資産が急激に伸びた2021年で急に落ちていることがわかりますね。

ここで、この2021年にメニコンに起こったことを調べてみるとこのような情報が出てきました。
2021年1月13日 2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ
つまり、このタイミングで社債を発行したということです。

ちなみに、ここで出てくる2025年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債とは何でしょうか?
それぞれの単語を分解して説明してみると、

2025年満期:この社債の償還期限が2025年であることを示します。つまり、2025年に満期を迎え、その時点で転換されなかった場合、企業は投資家に元本を返済しなくてはいけません!

ユーロ円建:ユーロ市場で発行されるものの、円建て(日本円で元本や利息が支払われる)であることを意味します。通常、国際的な投資家向けに発行されることが多いもので、ユーロの価値に対して円が安くなれば、ユーロ圏の投資家にとってみればさらに魅力的になります。

転換社債型新株予約権付社債(CB: Convertible Bond):これは社債(借金)と新株予約権(株式に転換できる権利)がセットになったハイブリッドな金融商品です。投資家は、一定の条件のもとでこの社債を企業の株式に転換する権利を持っています。

つまりこれは、株価が上がって指定の値段に達したら新株予約権になれる権利が付いた社債という意味になります!実はこれは会計的に面白いことが一つあり、株価が上がって新株予約権として行使されれば、企業の純資産としてカウントすることができるというものなのです!

逆に言えば、これは株価が上がらなければすべて借金ですので、返済のためにお金を準備する必要がある。ということですね!
これにより大幅に自己資本比率が低下したものと考えられます!ちなみに、この転換社債の使い道は設備投資だったので、今後に期待ですね!

「損益計算書」を見る

次は損益計算書を見ていきましょう。損益計算書(Income Statement)とは、会社がいくら稼いで、そのためにどうお金を使ったかを記述し、最終的にいくら儲かったのかを明らかにします。

そしてこちらがメニコンのものになります。製造業ということで原価もそれなりにかかっていることがわかりますが、それでも結構な利益率なように思えます。

いろんなものを引いて残った利益をもとにある数値を出せます。それが、売上のうちの利益の比率の売上高営業利益率で、いくら稼げているかの割合が分かります。メニコンでは7.7%、経営管理指標では、28年までに12%を目標にすると書かれていますので、残り三年ですね!ちなみに、先ほど挙げたジョンソンエンドジョンソンは26%なので、ここからの追い上げに期待したいですね!

「キャッシュフロー計算書」を見る

キャッシュフロー計算書は、現金の出入りについて記録したものになります。お店でいえば通帳のようなものです。このキャッシュフロー計算書には3つ種類があり、それぞれ営業、投資、財務という3つでお金の動きを見ることになります。

営業キャッシュフロー(Operating Activities):日常業務から得られる現金。例えば、レンタル料金の収入、在庫の購入による支出が含まれます。

投資キャッシュフロー(Investing Activities):設備投資や不動産購入、もしくはそれらの売却によるキャッシュの動き。例えば、新しいレジシステムや新規のビデオ購入、販促用ロボットの導入コストなどです。

財務キャッシュフロー(Financing Activities):借入金の返済、株主への配当、資本増資など。例えば、銀行からのローンを返済する際の出金などがあげられます。

のようになります。

例えばここからわかることを分析してみましょう!
キャッシュ・フローは過去数年分分析して傾向などを知ることが大事なので、今回のメニコンさんは複数年度見ていきましょう。

さて、24年の有価証券報告書を用いて以上の三つのキャッシュフローで表を作成しました!期首残高は年度の始まり、期末残高は年度の終わりのお金の合計をそれぞれ示しています。

まずは期首40,664…単位は百万円ですので406億6400万円ほどになります。そして、営業CFは118億円6600万円。そこから投資CFと財務CFでそれぞれ215億7500万円のマイナス、145億5400万円になってますね。これらの要因として、有価証券報告書を見てみると

(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,048百万円増加し46,713百万円(前 連結会計年度比14.9%増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上により、11,866百万 円の収入(前連結会計年度は12,749百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に1日使い捨てコンタクトレンズの生産能力の増強を目的とした、 Menicon Malaysia Sdn. Bhd.における製造工場建設に係る製造設備投資、Menicon Singapore Pte. Ltd.における製 造設備投資の他、メニコンネクトにおけるケア用品の製造設備投資により、21,575百万円の支出(前連結会計年度 は13,776百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債の発行により、14,554百万円の収入(前連結会計年度は8,900 百万円の収入)となりました。

※株式会社メニコン第67期(自 2023年4月4日 至 2024年3月31日)本文より

※下線は筆者の後付け

つまるところ、今期のメニコンでは、社債の発行などにより財務活動のキャッシュフローが増えていたものの、自己資本比率が下がっていたのは、その社債などが関係していたということですね。
本当に簡単な分析ですので、投資判断を前提とするような企業分析を行うには、さらに様々な式などで導き出す必要があります。

次は本業以外での企業の取り組みを見てみましょう。

事業以外の取り組み

本社にシアター?!

さて、本業以外で特に注目するところとしては本社の中にある様々な施設です!2012年に本社社屋を改修し、美術展示スペース「ギャラリーMenio」や多目的ホール「HITOMIホール」を開設。さらに2023年、オーケストラピットを備えた本格的な芸術劇場「メニコン シアターAoi」をオープンさせていますね。それぞれの劇場を少し覗いてみましょう!

メニコン シアターAoi

2023年4月に開館した劇場です。オーケストラピットという劇場やオペラハウスにある舞台と観客席の間にある高さが下げられた演奏者用スペースを有する、客席数301のコンパクトな劇場です。東海四県(違和感)、遠州のYAMAHAのグランドピアノであるCFXを導入しているうえに響きを自由にコントロールできる「音場支援システム」、YAMAHAのAFC Enhance アクティブフィールドコントロールエンハンスシステムを日本初導入されているという、小さいながらもすごいスペックの劇場です!

ちなみにCFXというグランドピアノなのですが、YAMAHAの公式ホームページでの希望小売価格が23,100,000 円(税込)ということだそうです。50台限定のシェルビー「コブラ」純正レプリカと大体同じくらいか…

ギャラリーMenio

2012年にオープンしたギャラリーです!彫刻作品やメニコンの設立時から今までの歩みを見ることができます!

テクノロジー&サービスコーナー
メニコンの現在のハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズの製法や現在提供しているサービスを展示している場所です!

ヒストリーコーナー
メニコンやコンタクトレンズの歴史を年表の形で見ることができます!

コーポレートコーナー
メニコンの様々な事業や表彰などを展示しているようです!

メニコンDNAコーナー
メニコンの創業者、田中恭一の刻画(レリーフ彫刻)、弟で技術顧問の田中勇輝の仏像とボトルアーキテクチャ、また父親で初代会長の田中華山の竹彫作品を展開しています!

ちなみにこれはボトルシップから着想を得て製作したミニチュアだそうです…うーんすごい。

他にも…

レンタル展示コーナー
幅広い創造意欲を支援するレンタルコーナーを備えています。可動式のパネルもあるので、いろんな形の展示ができるようです!

プロダクトコーナー
今では貴重なコンタクト草創期の商品をはじめ、現在展開している商品まで、メニコンの歴史の商品を展示しているようです!

HITOMIホール

同年にオープンした多目的ホールです。客席数は110席で小さめですが様々なイベントを開催しているようです!たとえば25年の4/24(木) には「プリズムステージ ON music project リレーコンサートVol. 141 宮本花 クラリネットリサイタル [ 芽生え ]」が開催するそうです!ここのチケット販売サイトから、よければぜひ見てみてくださいませ!

中学生のU15東西サッカー大会メニコンカップ!

サッカーを「アイコンタクト」と表現するほど、眼(視覚)が重要な役割を果たすサッカー。そこで、スポーツを通して生まれる素晴らしい感動を多くの方と共有するとともに、サッカー選手を目指す若者の夢を応援したいという考えのもと、1995年の第1回大会よりメニコンカップの特別協賛を行っているそうです!9月ごろに開催されるとのことなので、今年のメニコンカップも楽しみですね!

おわりに

さて!ここまでメニコンを見てきました。まさに今挑戦をしているメニコンですが、事業以外にもホールやサッカーの大会など私たちの身近な所にもメニコンがあることがわかりますね!

長くなってしまいましたがここまでご覧いただきましてありがとうございます。
これからもこういったナゴヤ圏から世界を目指す企業、羽ばたく企業などを紹介していきますので、応援よろしくお願いいたします!

ABOUT ME
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隼河ジョン
2002年生まれ。一時期は企業を擬人化して脳内で同人誌を書いていた異常証券マン。企業や経済活動を擬人化してニヤニヤしているとは言えず、適当に言い訳しつつ情報収集をしている。名古屋圏に数多くある製造業や、新しい企業を知ることで、皆様の知らないナゴヤをお伝えできるよう奮闘中。