隼河ジョンです。今回から始まるのは今から愛知から世界に羽ばたく、羽ばたこうとする企業を紹介、応援する「”ナゴヤ経済圏”企業探訪記」です。
今回紹介するのは「朝日インテック」です。どんな企業なのでしょうか?
朝日インテック株式会社とは
「朝日インテック」は1972年7月、朝日ミニロープの販売会社として設立されました。現在は朝日ミニロープ本体を吸収合併し、愛知県瀬戸市に本社を置いています。
- 企業の名前
朝日インテック株式会社(英語名:ASAHI INTECC CO., LTD.)
- 設立年次
1976年7月8日
- 本店所在地
愛知県瀬戸市暁町3番地100
- 資本金
18,860,000,000円(188億6千万円)
- 業務内容
医療機器の開発・製造・販売
極細ステンレスワイヤーロープ及び端末加工品等の開発・製造・販売
ではこの「朝日インテック」はどのような会社なのか、早速見ていきましょう!
朝日インテックのすごい技術!
世界シェア一位!PCIガイドワイヤー
朝日インテックは、主にガイドワイヤーをはじめとするカテーテル治療用製品の開発・製造・販売を行っています。
貫通カテーテル、ガイディングカテーテルといった、カテーテル治療に不可欠な医療機器を主力として開発・製造・販売を行っているのです。
その中でもPCI(経皮的冠動脈形成術)用のガイドワイヤーに至っては世界シェア1位なのです。日本を含めすべての地域で50%以上のシェアを有するに至っています。
ここで手短に経皮的冠動脈形成術についてお話すると、細くなったり詰まってしまった冠動脈(心臓の筋肉に血流を送る血管) に対し、カテーテルを用いる治療法の総称です。造影剤などとX線でどれくらい血管が細くなってるか/詰まってるかを調べ、場合によってはステントやバルーンを送り血管を拡大させる、医療漫画などでもよく見る治療法です。
そして、朝日インテックはそのバルーンをPCIガイディングカテーテルから病変部まで送るPCIガイドワイヤーでシェア1位!
他にも…先の話にでてきたPCIガイディングカテーテルやバルーンなども自社で開発、製造、販売しているすごい会社なのです!

将来的にどんな企業になるのか?
現在も独自の技術やシェアを獲得していますが、将来的にはどのようなことを構想しているのでしょうか?
そこで役に立つのが「中期経営計画書」や「統合報告書」「事業報告書」です。
中期経営計画書は、三から五年の経営方針をまとめたもので今の会社の状況と将来なりたい姿やあるべき姿との差を埋めるロードマップです。野球の有名人でいえば、大谷選手の将来設計シートですね。
一方、統合報告書や事業報告書は投資家やメディア向けに自分の立ち位置やロードマップを示すものになります。特徴として挙げられるのはわかりやすい資料であるということ。初心者が見てもわかりやすいようになっています。ただ、事業報告書は株主などに送ってみてもらうための資料になりうることもあるので、選任などのために取締役の情報なども細かく乗っているなど載っている情報が少し違っています。
さてここでは、事業報告書から朝日インテックのなりたい姿=ビジョンを少し見ていきましょう。

今後もグローバル競争に勝ち、連結売上高1,000億円を超えて永続的に成長発展する企業であり続けるために、その礎となる施策に今から着手していくことが必要であると認識し、当社グループの高い技術力の強化により消化器分野・脳血管系分野・ロボティクス分野などの新領域への進出をはじめております。また、新テクノロジーとの融合が必要な場合には、より積極的に技術提携、M&A、少数株主投資などを駆使し、外部からの新技術導入を含め、有力パートナーとの戦略的提携についても推進しております。
M&Aや、コア技術の活用で、次世代のスマート治療や遠隔治療を進めていく、ということですね。ロボティクス分野などにも参入していくとのことなので、個人的にとても期待しています!
と、技術や将来的なビジョンも見ていったところで、企業分析に移りましょう。
企業分析をしてみよう
すごい技術を持ったすごい会社ということはお分かりいただけたと思いますが、今はどのような状態なのでしょうか。そこで必要になるのが「統合報告書」や「有価証券報告書」です。
有価証券報告書は主に総理大臣に提出するもので、企業の概況・事業の状況・経理の状況等の、投資判断に資するような様々な企業情報が記載されています。金融庁が提供するEDINET、あるいは企業の公式サイトのIRなどからでも閲覧が可能です。
いわば「株式会社の健康診断書」になるものです。これらから、今の朝日インテックの姿を見ていきましょう!ちなみにここでは朝日インテックのグループまで含めた連結経営指標を用いていきます。
「貸借対照表(バランスシート)」を見る
まず、バランスシートを見ていきましょう。別名、貸借対照表(Balance Sheet: B/S)といい、会社がどれだけ財産を持っているかが分かります。項目は資産の部と負債の部に分かれています。

例えば、私が今やりたいゲームに因んでレンタルビデオ屋を例に考えていきましょう。
レンタルビデオと聞いて想像するのは、大量のVHSビデオですね(今はDVDやブルーレイでしょうか……)。他にはレジや商品管理用のパソコン、店舗、棚などが考えられますね。これらは資産です。バランスシートでいえば左側となります。
では右側はなんでしょうか?
右にはそれらが人のお金なのか、自分のお金なのかが書かれています。正確には負債、及び純資産です。
もっと細かく見ていきましょう。負債の項目では、レンタルビデオ屋を始める時に銀行から借りたお金、後払い金、そして従業員の未払いの給料などが書かれています。
資産から負債を引く、つまりすべての持ち物から借りたお金分を抜くと、実際の自分の資産(純資産)がわかるようになるのです。
ちなみにその純資産が総資産に占める割合を「自己資本比率」と言います。全財産のうち自分のお金がどれだけあるのかがわかるようになります。東京証券取引所の調べでは、東証のプライム・スタンダード・グロースの三市場に上場している製造業、保険、銀行の自己資本比率は24年3月期の時点で製造業が46.98%、保険が9.77%、銀行が4.55%だったそうです。参照
では、朝日インテックの純資産がいくらになるかというと、151億6140万円です。自己資本比率で言えば78.9%!ちなみに、競合他社であるテルモは72.46%(24/3)、Boston Scientificは55.58%なので、他社と比べても比較的高いことがわかります。
これはいわゆる信用力や財務の安定性が他社よりも高いということになります。ただ、裏を返せばもっと借入などを行って成長できるのではないか?ということにもつながります。
「損益計算書」を見る
次は損益計算書を見ていきましょう。損益計算書(Income Statement)とは、会社がいくら稼いで、そのためにどうお金を使ったかを記述し、最終的にいくら儲かったのかを明らかにします。

引き続きレンタルビデオ店に出てきてもらいましょう。一番上には売上、レンタル料金、会員費などがあります。例えば、1ヶ月でビデオレンタルから得た収入がここに入ります。
売り上げのすぐ下には売上原価=購入したビデオやDVDのコストが書かれています。これらを売上から引くとそのすぐ下の売上総利益になっていきます。そこから一気に見ていくと販売費及び一般管理費=店舗の賃料、人件費、光熱費、広告費などが書かれます。それらをどんどん差っ引いていったものが経常利益です。通常の事業活動で得た利益のことで、営業利益や営業外収益などをもとに算出できます。レンタルビデオ屋が営業以外のことも含めて黒字ならば、ここにプラスの数値が表示されます。
ちなみに純利益(Net Income)はそこからさらに特別利益や特別損失、税金などを引いた形になります。似たような言葉でもこのような違いがあるんですね。
さて、ちょっと例に出た特別利益や特別損失。こちらは、文字の通り本業とは関係ない場所で生えてきた利益や損失になります。営業外収益や営業外費用などもありますが、そちらは利息や手数料などが入ります。継続的か、そうでないかが分かれ目ですね。この架空の損益計算書を見てみると、なぜかこのビデオ屋は、ビデオ屋であるにもかかわらず本業以外で利益や損失、費用を大量に計上しているようですね。裏稼業かな?
さっきのビデオ屋と違い、こちらは本業で利益を出しているようです。
いろんなものを引いて残った利益をもとにある数値を出せます。それが、売上のうちの利益の比率の売上高営業利益率で、いくら稼げているかの割合が分かります。朝日インテックでは20.6%、経営管理指標で20%を目標にすると書かれていますので目標を達成していますね。テルモは15.2%、Boston Scientificは22.63%なので、他社と比べても遜色ないことがわかります。
「キャッシュフロー計算書」を見る
キャッシュフロー計算書は、現金の出入りについて記録したものになります。お店でいえば通帳のようなものです。このキャッシュフロー計算書には3つ種類があり、それぞれ営業、投資、財務という3つでお金の動きを見ることになります。

たとえば上はレンタルビデオ屋の架空のお金の動きです。それぞれ
営業キャッシュフロー(Operating Activities):日常業務から得られる現金。例えば、レンタル料金の収入、在庫の購入による支出が含まれます。
投資キャッシュフロー(Investing Activities):設備投資や不動産購入、もしくはそれらの売却によるキャッシュの動き。例えば、新しいレジシステムや新規のビデオ購入、販促用ロボットの導入コストなどです。
財務キャッシュフロー(Financing Activities):借入金の返済、株主への配当、資本増資など。例えば、銀行からのローンを返済する際の出金などがあげられます。
のようになります。
例えばここからわかることを分析してみましょう!
このレンタルビデオ屋は、期首に100のお金を持っていました。そして本業のレンタルビデオで50プラスに、投資していた企業の株を売却したり、その配当などで60プラスに、しかし一方で過去に買った設備やVHSの購入代金の分割ローンの返済で40マイナスになったとしましょう。期末は170となります!結果的にお金が70増えている形なので安定的な運営ができていそうですね。
このように、キャッシュフロー分析では簡易的ではありますが企業がどのようにお金を使っているかを分析することができます!
一方で、本来は過去数年分分析して傾向などを知ることが大事なのですが、今回の朝日インテックさんは安定して同じ傾向のようだったので省略して単年度のみ見ていきます!
さて、24年の有価証券報告書を用いて以上の三つのキャッシュフローで表を作成しました!期首残高は年度の始まり、期末残高は年度の終わりのお金の合計をそれぞれ示しています。

まずは期首34,884…単位は百万円ですので348億8400万円ほどになります。そして、営業CFは34,708、期首と同じくらいの金額347億800万円を稼いでいます。そこから投資CFと財務CFでそれぞれ212億2200万円と138億7800万円のマイナスになってますね。これらの要因として、有価証券報告書を見てみると
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、212億22百万円(前年同期比60億86百万円増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が98億77百万円、投資有価証券の取得による支出が83億34百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、138億78百万円(前年同期比115億35百万円増)となりました。これは主に、短期借入金が65億円減少、長期借入金の返済による支出が32億2百万円、配当金の支払額が39億33百万円であったことによるものであります。
つまるところ、「新しい工場を建てたり、投資をしてお金が出ていったのと同時に、借入金の返済なんかで結構使っちゃった」ということになりますね。でも営業CFともともとのお金のおかげで期末のお金は微増になってますね。安定感……。
ここまで、朝日インテックの企業分析を行ってきましたが、本当に簡単な分析ですので、投資判断を前提とするような企業分析を行うには、さらに様々な式などで導き出す必要があります。
次は本業以外での企業の取り組みを見てみましょう。
事業以外の主な活動
瀬戸市の情報誌「INTE-LLIGENCE」を刊行
瀬戸市で働き、瀬戸近郊に住む朝日インテックの社員にしか書けないディープな情報や、読者の方からいただいた情報をピックアップし「瀬戸の魅力の再発見と発掘」をテーマに、微力ながら地域活性化の一助となるように、との想いで2021年から制作されているようです。
また、瀬戸市の以下の場所では紙媒体として頒布されているそうです!
発行場所
- 名鉄瀬戸線
尾張瀬戸駅・新瀬戸駅・三郷駅・尾張旭駅、大森・金城学院前駅、喜多山駅、小幡駅、大曽根駅、栄町駅 - 愛知環状鉄道
瀬戸市駅 - 金融機関
瀬戸信用金庫(市内15店舗)、名古屋銀行 瀬戸支店、愛知銀行 瀬戸支店 - 公共施設
瀬戸市役所、パルティせと、瀬戸蔵、図書館、文化センター、道の駅瀬戸しなの、デジタルリサーチパークセンター ほか
第七回では、瀬戸を拠点として活動する多様な分野のアーティスト10名の紹介や瀬戸の街中に潜んでいる街角アートを取り上げるアート特集!インターネットでもご覧になることができますのでぜひこちらから、瀬戸市の方もそうじゃない方も是非見てみてくださいね。
女子サッカーを支援!
スポンサーとしてスポーツチームなどにも積極的に支援を行っており、現在なでしこリーグ一部の「朝日インテック・ラブリッジ名古屋」はネーミングライツパートナー契約を結んでいるうえ、チーム所属選手を朝日インテックの社員として雇用するなど、トップパートナーとしてスポーツ支援にも力を入れているそうです。
ちなみにラブリッジの名称の由来は愛知から。愛知をそれぞれ英語に充てると愛=LOVEと知=KNOWLEDGEになり、それを組み合わせたものがラブリッジというわけです。ほかにも様々な意味が込められたラブリッジ名古屋の公式ホームページも載せておきますので、この機会にぜひ応援しましょう!
おわりに
さて!ここまで朝日インテックを見てきました。
成長企業で、最終的には医療用ロボットなどを開発しようとしている安定した成長企業でした。投資などを行っていて、順当に規模を拡大しています。瀬戸市の情報誌なども出しており、地元女子サッカーのスポンサーとして活動しているなど、事業外でも目が離せない企業ですね!
長くなってしまいましたがここまでご覧いただきましてありがとうございます。
これからもこういったナゴヤ圏から世界を目指す企業、羽ばたく企業などを紹介していきますので、応援よろしくお願いいたします!