はじめまして。
築古空き家専門のリフォーム屋を経営する”らいおん”です。
今月からデラデザインで連載を書かせていただくことになりました。
よろしくお願いします。
築古戸建オタク、らいおん
そう、僕は築古が好きで好きでたまらない、築古戸建オタク。
自身でも築70年超えの空き家を購入して賃貸住宅として運用したり、築100年の空き家を相続して旅館として再生、運営したりしています。
好きって突き詰めれば仕事になるもの。築古戸建への愛を叫び続けていたら、”築古空き家専門リフォーム屋”として、音声メディアVoicyでパーソナリティをしたり、収益不動産ポータルサイトの健美家でコラムニストとして執筆したりさせていただけるようになりました。
ありがたい限りです。
犬山城下町の古民家に引っ越したい!
さて、いきなりですが
「引っ越したいよ。もう狭いよ。」
僕、事務所が自宅でして現在進行形でこんな感じで記事を綴っとるんですよ。
せめぇんですよ。
そしてこれだけ築古ガァ、古民家ガァって言っておいて今住んでいるのが
築浅のアパートなんですよ。
いやはや申し訳ない・・・。
説得力ないじゃない。
築古好きなんて名乗れないじゃない。
という事で、動き出したのがこちらのプロジェクト。
この連載は、古民家大好きのリフォーム屋が自らの経験、実績、スキルを活かしまくって築浅狭小アパートから憧れの犬山城下町に住むまでを綴っていく城下町移住ストーリーである。
犬山城下町の魅力
そんな僕が憧れる犬山城下町とは、国宝・犬山城のふもとにある町。
室町時代に織田信長の叔父である信康が築城したという犬山城の付近に、商人や職人を住まわせる事で城や町の発展を促したようで、その名残が風情ある町並みを形成しています。
しかし、実はつい数年前までは風情ある町並みがあるだけでどこか寂しい活気のない町でした。
”歴史と風情がある”というだけで観光客が訪れ、活気のある人気の町になるというわけではないんですな。
しかし、数年前に本格的に国宝・犬山城があるこの町を活気づけていくぜ!という政策が始まり、徐々にこの城下町は人気の町となっていったのです。
今では休日になれば、国内・外の観光客で賑わい、気をつけて歩かないと人同士がぶつかってしまうくらいに活気づいています。
政策の一つに”無電柱化”というものがあり、この町並みの景観を良くするための大きな役割を果たしています。
文字通り、電柱が無いんです。
そのおかげか、青空がより開放的に見えますね。
また、その先の山の上にある犬山城をダイレクトに望むことができます。
このおかげで、犬山市はいわゆる「インスタ映え」する街に変貌。
SNSでも積極的に犬山城×青空×風情ある町並みの写真が投稿されるようになった気がします。
他にも景観のこだわりは随所にみられます。
細かいところですが、エアコンの室外機が黒いですね。
別にこれが普通の白でも気付かない人がほとんどかもしれません。
ただ、このような潜在意識的な工夫が”なんだかお洒落で綺麗で風情ある町並み”という印象を与えて魅了されるのでしょうね。
さらに、食べ物もインスタ映えするようなものが並んでいます。
見て楽しい、撮って楽しい、食べて美味しい!
「そりゃ人気が出ますわな」という要素がてんこ盛りなのですよ。
さらにさらに、”レンタル着物屋”もあって、この風情ある町並みを着物を着て食べ歩きができます。
着ている自分も楽しいし、またそれが景観の一部となって周りの観光客も楽しく、文化を感じる事ができるという…。天才!
古き良き風情を持ちながら、それをうまく活かせず寂れていく町も多々ある中で、犬山城下町は新しさをきちんと取り入れて独自の文化を築いているように思います。
なぜ犬山城下町に住みたいのか
実は、僕は小さい頃からよくこの町にお世話になったものでして…
実家がこの犬山城下町の隣町なのです。
駅で言うと2駅。
小さい頃は歩いて、高校生の頃は自転車で、大学生の頃は車でよくこのあたりまで来ていたものです。
犬山城のふもとには”針綱神社”という神社があって、毎年初詣はここに来てお参りをしていました。
小さい頃は今のように活気があったわけでないのですが、古い町並みと当時のノスタルジックな雰囲気も好きでした。
10年前に亡くなった父のお墓もこのすぐ近くにあります。
なんやかんや、縁のある町なんです。
そのため、引っ越しをしようと思った時に”犬山城下町に住もう”と思ったのも自然な流れだったわけですな。
どんな家が良いのか
大好きな古民家が良いのは揺るぎない。しかし僕は古民家を愛する男、らいおん。
”誰も欲しがらないような難儀な物件”が良いのです。
手間がかからない普通の物件は正直いらぬ。
そう、問題児であればあるほど良い。
というのも、僕には人生を賭けた使命がありまして。
”古くなった空き家を活用する文化を創りたい。そして空き家問題を解決したい。”
そのために身をもって、古くなって放置されている空き家の潜在的魅力を伝えていく生涯を捧げております。
事例:築100年の空き家を旅館に再生
三重県鳥羽市で放置されていた空き家を引き取って旅館に再生したのも、そんな僕の想いのためでした。
賃貸需要もない、人口も少ない、活気もない、そんな町で誰も引き取り手がおらずただただ放置されていた築100年の空き家を引き取りリフォームしました。
リフォームといっても、全てを新しくするわけではありません。
古さをそのまま活かす。味のある材料は再利用する。というこだわりがあります。
この写真の和室も天井と壁には何も手を加えず、それらを引き立たせるために照明と砂利を新しく取り入れました。
砂利は”伊勢砂利”というその地域の産物を使用しており、奥に見える竹は自ら竹林に出向いて刈ってきた物です。
※竹林所有者に許可を得て一緒に採取してきました
こんな事ばかりをしていたのでめちゃくちゃ効率が悪く、ただただ好きを優先し、楽しくこだわりを追求しまくった利益度外視の空き家再生活動でした。
が、それが逆に色々な人に”なんだか楽しそうだな”と思って頂き、僕の想いが少し届いたように思います。
それが形となったのがこのクラウドファンディングです。
のびのびと空き家を旅館にする様子を1年半毎日発信していたら、たくさんの支援や応援と「自分も相続して放置していた空き家を何とかしたくなった」という嬉しいお言葉も頂いたんですよ!
おかげさまで無謀だと言われ続けていた築100年の空き家は、旅館として無事に再生する事ができました。
その時に思ったんです。
空き家問題を解決するのに必要な事って
少しの知識と大きな感動なんじゃないかと。
空き家を放置する事のデメリットを訴える事ももちろん大事。
でもそれだけでは人々は動かない。
楽しそう!面白そう!やってみたい!かっこいい!かわいい!ワクワクしてきたぞ!っていう感情をグイグイ動かす事が、実は初手で必要な事なんじゃないかと。
犬山城下町で「オラ、ワクワクすっぞ!」と言わせたい
古民家再生の肝はワクワクにある。
だから僕は、この犬山城下町で皆が欲しがるような物件ではなく、皆が手を引くような難儀な物件を手に入れ、悩み、苦しみ、壁にぶち当たりまくり、再生していく様子を届けたい。
そのことで
「あんな物件もそんな事になるんか!!!ちょっ!楽しそう!!!オラワクワクすっぞ!!」
とさせたいのである。
あとがき
と、まぁとても熱い想いを綴ったのですがこんな感じで書いてるんですよね。
築浅のアパートでね。
お酒を飲みながらね。
ごめんなさいね。
はよ引っ越したい。