こんにちは、みー@飛翔です。さて今月からdelaDESIGNの方針変更もあって記事のテイストが少し変わります。具体的には今まで駅特集としていたのが、今月号から駅にこだわりなく、名古屋の街全体で「都市」「デザイン」に焦点を当てて記事を書いていくことになりました。
とはいえ私はメインブログの方もあるので内容がかぶらないようにしたいと思います。今回焦点を当てたのは「桜通線の壁画」です。相変わらずマニアックだなあと思った方多いかもしれませんが、私のコーナーではぶれずにマニアック路線で行きたいと思います。
そもそも「桜通線」って?
桜通線は名古屋の地下鉄で一番新しい路線です。正確には上飯田線や名城線右側の方が新しいのですが、上飯田線は0.8kmしかないですし、名城線も左側はかなり古いので、桜通線が一番新しいという言い方は正しいと言えるでしょう。
建設時期が一部バブルのころと重なったのもあって、桜通線各駅のコンコースには豪華で大規模な壁画が掲示してあることはご存じでしょうか。利用するときたぶん視界には入っていると思いますが、足を止めてゆっくりと見たことのある方は少ないと思います。今回はその壁画を徹底紹介していきます。
なお建設時期ですが、3期に分けられて建設されています。1期は1989年に中村区役所~今池、2期は1994年に今池~野並、3期は2011年に野並~徳重という感じです。
ちなみに他路線でもところどころに壁画がある駅もあるのですが、3期のぞく全駅にあるのは桜通線だけです。
1期:バブル期に建設された豪華な設い
中村区役所~今池は都心を貫き利用客も多いことから若干オーバースペック気味で建設されました。ホーム幅は広く、長さは8両分が確保されています。(ホーム幅の広さは共同溝が通っている関係もあります)
それでは壁画を見ていきます。壁画はコンコースにある駅もあったり、改札内の場合もあります。
こちらは丸の内駅です。これは玄耀(はるかなるものへ)という題で、伝統的な漆工芸を新技術により新たな世界へ導いたとされています。日本ガイシの寄贈です。
解説を見ると、無限の奥行と落ち着きをたたえた黒の中に金銀がちりばめられ、眼前に幽玄と静寂の世界が広がるとか・・・芸術の世界は難しいですね。朝の通勤風景では壁画にわき目もふらずサラリーマンたちが歩いていきます。これから出社するときに幽玄と静寂の世界は広がらない気がします。あくせく働くのもいいけど、もっと心に余裕をもって深遠な世界をのぞいてみてはということでしょうか(笑)
こちらは久屋大通駅のラプソディー・イン・ブルーです。写真に見えていますが三越の寄贈です。未来の街をモチーフに描かれたものだそう。
地上を走る鉄道で壁画を設置する例はあまりない気がしますが、地下は外の景色が見えないのでこういうのいいと思います。
次は今池の翠の時です。翠はここではみどりと読むようです。いのちの輝く森、みずみずしい木の葉を透かして太陽の光がとおってくるイメージです。東邦ガスの寄贈です。
今池にはもう一つ、サイエンス・オーシャン・ファンタジーというのもあります。このように一つの駅で複数の壁画がある駅もあります。
その他の遊び心要素として、名古屋駅には難工事をアンダーピンニング工法で成功させたことをたたえるための土木学会賞受賞のプレートが、久屋大通駅には広大なホームのスペースを利用して駅の模型や建設時に出土した壺が、それぞれ展示されています。電車を待つ人々はスマホに夢中ですが、ちょっとホームを見まわして探してみるのもおすすめですよ。
2期:バブル崩壊も1期の流れを受け継ぎ駅アート多数
今池~野並はバブル後の建設なので1期よりは簡素化していますがそれでも壁画設置は継続されています。中にはおしゃれでかっこいいものもあります。
それが吹上のPLEASE DO NOT RUNです。そのまま訳せば「走らないでください」。交通局がよくアナウンスしている駆け込み乗車防止のためかと思ったら「そんなに早く走らないで。人生で最も美しいものを見失ってしまうから」という一文が添えられていました。深いですね。桜通線は新しいので地下深いですが、それ以上にこの壁画は深いです。
個人的に全壁画の中で一番おしゃれだと思います。黒でまとまったシックな雰囲気とともに人生訓まで示すかっこいい壁画です。
新瑞橋駅は面白いです。まず壁画はコンポジション“街”というタイトルで、ターミナル駅の人や街のにぎわいを表現したものです。図形を使った抽象的な絵です。やっぱり芸術は難しい(笑)
さらに遊び心要素もあります。改札外に鉄道関係の部品や押すと電気がつく信号などが展示してあります。市電時代のものも多く並んでいます。入場無料です。
3期:壁画の展示はなし コスト削減が前面に
鳴子北以東では壁画の展示はありません。また遊び心要素もほとんどありません。コスト削減を最優先にしているようなので仕方ないと思います。
逆に1期2期と異なるコスト削減部分を見ていきましょう。まずホームが狭いです。特に1期は広大なホームを持つ駅が多かったですが、この区間の駅はホーム幅が6m~7m程度となっています。
続いて2期までは8両で建設していたホーム長が6両までになっています。まあホームドアも設置されて減便を続ける今の交通局を見るに8両はおろか6両化も望めそうにありませんが・・・
さらにホームの壁の化粧板が下までいかず途中で終わっています。下の部分はコンクリートがむき出しです。ホームや電車に座っていればコンクリートは見えないのですが、立ってみると見えてしまい、お金なかったんだなあと思ってしまいます。
しかし駅ごとにアクセントカラーが強調されているので殺風景ではありません。鳴子北では黄緑、相生山は青、神沢は茶色、徳重はピンクとなっています。今でこそホームドアのサインが駅カラーをまとったものになっていますが、そのはしりはここ4駅ではないかと思います。
名古屋は地下も面白い!
いかがでしょうか。名古屋は地上だけでなく地下も面白いのです。桜通線を利用するときは一度足を止めて、壁画に目を向けてみてください。
それでは上で紹介しきれなかった分も含めて全駅の壁画をまとめてみましょう。こんなマニアックなリストがどこに需要があるのかわかりませんが(笑)
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太閤通/地中の虹
名古屋/イメージスペース・名古屋駅の人々、春のめざめ
国際センター/夢のあしあと
丸の内/玄耀(はるかなるものへ)、銀河の音楽〈LA MUSICA DELLE GALASSIE〉
久屋大通/子供とひまわり、ラプソディ・イン・ブルー
高岳/森のかくれんぼ
車道/エメラルドウィンド
今池/翠の時、サイエンス・オーシャン・ファンタジー
吹上/PLEASE DO NOT RUN
御器所/都市(まち)の楽しさ
桜山/希望の桜、桜、BIRD’S EYE、江戸時代のなごや、桜山物語
瑞穂区役所/四季の旅 “Journey Through The Seasons”
瑞穂運動場西/躍動 走・跳・投
新瑞橋/コンポジション“街”
桜本町/Japanesque Sakura-hommachi Wall
鶴里/人々の肖像
野並/WHITE CONCEPTION、童里ー夢(どりーむ)
鳴子北・相生山・神沢・徳重 → なし
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というわけで新生delaDESIGN第1号記事でした。駅ごとの縛りはないので今後もデザインや環境、都市をテーマにちょっぴりマニアックな面白い記事を書いていきたいと思います。
次回もお楽しみに!